MEMSとはMicro Electro Mechanical Systemsの略で,日本ではマイクロマシンと呼んでいる場合もある.主に半導体の電気回路を作る技術を応用して,アクチュエータやセンサなどを微細に製作するシステムを指す.また,microTASはMicro Total Analysis Systemsの略で,MEMSなどの微細加工技術を利用して微細な流路やバルブ,ポンプなどを集積し,化学合成や分析などの生化学実験をワンチップ上で行なうシステムのことを指している.
最近,これらの技術を利用してバイオ研究を行っている例を多く見かける.例えば,Lab on a Chipも同様の研究分野である.この分野は,最近Nature誌のInsightで取り上げられていたので,「あれか」と思う人も多いのではないだろうか.ただ,そんな盛り上がりをみせる一方で,実際にこの技術を取り入れようと積極的に意気込んでいるバイオ研究者は少ないかもしれない.そこで,ここでは小さな実験装置のいざないとして,これらの技術紹介と,最近開催されたmicroTAS2006の学会からこれらの技術を使った最新バイオ研究の紹介をしたい.