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フェロトーシスとがん

Ferroptosis in cancer progression and therapy
大田雄大,前田英仁,諸石寿朗
Yudai Ohta/Ayato Maeda/Toshiro Moroishi:東京科学大学総合研究院難治疾患研究所細胞動態学分野
10.18958/7737-00001-0006031-00

がんは日本における主要な死因であり,治療法の確立が依然として課題となっている.フェロトーシスは,治療抵抗性を示すがんに対する新たな治療法開発の突破口として,近年注目を集めている.がん細胞は腫瘍進展の各段階でフェロトーシスへの感受性を動的に変化させ,周囲の環境に適応しながら増殖する.遺伝子変異と環境因子が複雑に作用するがん化の過程においては,フェロトーシスに抵抗する細胞内プログラムの確立が,選択的ながん細胞の増殖に寄与する可能性がある.本稿では,腫瘍進展におけるフェロトーシスの役割について最新の知見を概説し,フェロトーシスを標的にした新たながん治療法の開発について議論する.

フェロトーシス,がん,治療抵抗性,腫瘍微小環境,がん創薬

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