実験医学 2008年2月号 Vol.26 No.3

命名から20年を超えて

Wnt研究の新機軸

生合成プロセス,シグナル伝達,細胞制御機構から,癌治療・再生医療をめざした臨床応用への可能性まで

  • 中川真一/企画
  • 2008年01月21日発行
  • B5判
  • 123ページ
  • ISBN 978-4-7581-0032-8
  • 定価:1,800円+税
  • 在庫:なし
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《企画者のことば》近年Wntの研究に新しい潮流がみられる.そのもっとも大きなうねりは,シグナル伝達の基本メカニズムが解明されたのを受けて,再生医療や癌治療などの分野における臨床応用への動きが高まりつつあることであろう.Wntという遺伝子名が生まれてから20年余.いまだ広がりつつあるWnt研究の現状と展望を概説する.

命名から20年を超えてなお研究の進むWntの知られざる局面に迫ります.各細胞へのさまざまな制御機構をはじめ,タンパク質としての性質から,加速する臨床への応用研究まで,最新知見を第一線の研究者がご紹介!

目次

特集

命名から20年を超えて
Wnt研究の新機軸
〜生合成プロセス,シグナル伝達,細胞制御機構から,癌治療・再生医療をめざした臨床応用への可能性まで〜
企画/中川 真一
概論—Wnt研究の現在—基礎研究の広がりと臨床応用への予兆【中川真一】
近年Wntの研究に新しい潮流がみられる.そのもっとも大きなうねりは,シグナル伝達の基本メカニズムが解明されたのを受けて,再生医療や癌治療などの分野における臨床応用への動きが高まりつつあることであろう.Wntという遺伝子名が生まれてから20年余.いまだ広がりつつあるWnt研究の現状と展望を概説する.
Wntタンパク質の修飾とその意義【高田慎治/高田律子】
Wntは分泌性のシグナルタンパク質であり,個体の発生や癌化にかかわることが知られている.最近になり,Wntタンパク質が翻訳後に受けるさまざまな修飾の実態が次第に明らかにされてきた.その1つが不飽和脂肪酸による修飾であり,この修飾はWntタンパク質が分泌されるうえで必要であることが示されている.本稿では,それらWntタンパク質の修飾の実態とその生理的意義について解説する.特に,分泌との関係について焦点を当て,分泌にかかわる他の因子についても合わせて紹介する.
線虫の非対称分裂を制御するWnt/βカテニン非対称経路【水本公大/澤 斉】
細胞内の代謝物総体を表すメタボローム(metabolome)を網羅的に定性・定量するのがメタボロミクス(metabolomics)である.植物の代謝物プロファイルは植物個体にわたった代謝物間の相互依存関係を観測できる.そのため,その性質の利用が代謝物存在量の増減に関する情報に加え,代謝システムを理解する際の助けとなる.本稿では,植物で観測される代謝ゆらぎに焦点を当て,その有用性を述べるとともに,われわれが最近行ったシロイヌナズナの遺伝型に依存した代謝制御構造に関する研究について紹介する.
脊椎動物のPCPシグナル【木下典行】
PCPシグナルは,平面上の細胞が同じ方向性を示す「平面細胞極性(planar cell polarity)」の制御シグナルとしてショウジョウバエで見つかった.Wnt受容体Frizzledや細胞質因子Dishevelledを通して伝達されるが,それ以外の点ではβカテニンを介する古典的Wnt経路とは全く異なる伝達機構や生理機能をもつ.近年,このシグナルが脊椎動物においてもさまざまな細胞極性制御にかかわっていることが明らかになってきた.まだ謎の多い脊椎動物のPCPシグナルについての知見をまとめてみた.
Wntと神経発生—軸索ガイダンスとシナプス形成における役割【吉川真悟】
Wnt分泌型シグナル分子ファミリーは,Hedgehog,TGFβファミリーとともに濃度依存的に細胞運命決定に関与するモルフォゲンとして,主に初期発生における役割について知られている.最近,Wntファミリーが,後期神経発生,とくに軸索ガイダンスやシナプス形成において重要な役割を果たし,これに関与する新規の受容体,あるいはシグナル伝達系が明らかにされている.本稿では特にWntの前後軸における神経軸索ガイダンスや,シナプス形成を制御するメカニズムについて,マウス,ショウジョウバエ,線虫での類似性を含めて紹介する.
幹細胞の維持および組織再生におけるWntシグナルの役割【久保 郁】
幹細胞は,自己複製能と多分化能をもったユニークな細胞である.このような特殊な細胞は,特定の刺激に応じて増殖を開始したり適切な細胞タイプへ分化したりすることで,組織の恒常性を保っている.ここ数年,さまざまな種類の組織幹細胞の維持にWntシグナルが関与することが次々と報告され,Wntシグナルは幹細胞維持に共通する分子機構なのではないかと考えられるようになってきた.これらの知識を手掛かりとすることで,幹細胞のユニークな個性を規定する分子メカニズムを理解することができるようになるかもしれない.
抑制か? 促進か? 病態にかかわるWntシグナル,創薬の可能性【坂中千恵】
Wntシグナル伝達系は生物種を超えて保存され,生体の発生,分化そして維持にかかわる重要な経路である.その活性の異常は,癌をはじめさまざまな病態を引き起こすことが知られている.近年,Wntシグナル伝達系を担う分子の遺伝子異常も発見され,それによる病気のメカニズムの解明もなされるようになってきた.Wntシグナル伝達系の活性を制御することにより,こうした病態の治療に結び付けようという試みがアカデミアや製薬業界で進められてきており,今後の研究の進歩が期待される.

トピックス

カレントトピックス
αキメリンは,エフリン−Ephシグナルの鍵メディエータとして,運動系神経回路形成を制御する【岩里琢治】
哺乳類cell-freeシステムにおけるlet-7 microRNAによる翻訳抑制【脇山素明/横山茂之】
エストロゲンは破骨細胞におけるエストロゲン受容体αを介したFasリガンドの誘導により骨量の減少を阻害する【今井祐記/中村 貴/松本高広/加藤茂明】
二母性胚からの高頻度なマウス発生【川原 学/河野友宏】
News & Hot Paper Digest
Pregnancy 53:癌抑制遺伝子の新たな顔
遺伝子たちの沈黙
mTORによるミトコンドリア機能の制御機構
製薬・バイオ業界の年末商戦—Biogen Idec社は買い手が現れず売却断念

連載

クローズアップ実験法
TRECK法による標的細胞ノックアウトマウスの作製【斉藤美知子/河野憲二】
手抜き実験のすすめ2
第6回 細胞培養を用いた実験の意義【福井泰久】
《新連載》効率の上がる核酸実験法
第3回 変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2)【田洋子/平尾一郎】
疾患解明Overview
CKD(慢性腎臓病)対策の重要性—CKDとCVD(心血管疾患)【安田宜成/湯澤由紀夫/松尾清一】
研究者のためのプロフェッショナル根性論
第2回 自分の世界で一番になる【島岡 要】
私の発見体験記 〜成功と失敗のはざまで〜
結合膜形成因子ジャンクトフィリン—挫折と電顕写真からはじまった分子同定に関する小さな物語【竹島 浩】
ラボレポート−独立編−
樹の下で何を思う—ロンドンの灰色の空を見ながら—Medical Research Council, Laboratory for Molecular and Cellular Biology, University College London【藤田恭之】
Update Review
新たな代謝・老化制御系としての「NADワールド」—全身性NAD合成制御系,Sirt1とその重要性【今井眞一郎】

関連情報

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  • 【本書名】実験医学:命名から20年を超えて Wnt研究の新機軸〜生合成プロセス,シグナル伝達,細胞制御機構から,癌治療・再生医療をめざした臨床応用への可能性まで
  • 【出版社名】羊土社

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