実験医学 2012年7月号 Vol.30 No.11

炎症シグナルの指揮者 インフラマソーム

細胞内の“異物”により活性化し,炎症反応を誘導するタンパク質複合体の新たな役割!

  • 猪原直弘/企画
  • 2012年06月20日発行
  • B5判
  • 131ページ
  • ISBN 978-4-7581-0085-4
  • 定価:2,000円+税
  • 在庫:なし
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《企画者のことば》

インフラマソームはカスパーゼ-1活性化によるIL-1β,IL-18分泌などを誘導する,炎症の要となる細胞質内タンパク質複合体である.インフラマソームは,病原成分,アスベストなどの外来性因子,コレステロール結晶などの内在性因子により活性化され,感染症,糖尿病,動脈硬化,自己免疫疾患,虚血傷害など,多彩な疾患の発症と進行に中心的役割を果たしている.また,インフラマソームの中心的構成因子であるNLRP3の変異は自己炎症性疾患をひき起こす.最近,研究の劇的展開によりこれらの疾患に対してインフラマソーム情報伝達系を標的とした新しい治療方法が開発されつつある.本特集ではこうした最新の動きについて総説する.

細胞内の異物“Danger Signal”により炎症を活性化するタンパク質複合体「インフラマソーム」を総力特集! 分子機構から,病原体感染や虚血傷害,メタボリックシンドロームなどにおける役割を紹介.

目次

特集

炎症シグナルの指揮者 インフラマソーム
細胞内の“異物”により活性化し,炎症反応を誘導するタンパク質複合体の新たな役割!
企画/猪原直弘
多彩な疾患に潜むインフラマソーム【猪原直弘】
インフラマソームはカスパーゼ-1活性化によるIL-1β,IL-18分泌などを誘導する,炎症の要となる細胞質内タンパク質複合体である.インフラマソームは,病原成分,アスベストなどの外来性因子,コレステロール結晶などの内在性因子により活性化され,感染症,糖尿病,動脈硬化,自己免疫疾患,虚血傷害など,多彩な疾患の発症と進行に中心的役割を果たしている.また,インフラマソームの中心的構成因子であるNLRP3の変異は自己炎症性疾患をひき起こす.最近,研究の劇的展開によりこれらの疾患に対してインフラマソーム情報伝達系を標的とした新しい治療方法が開発されつつある.本特集ではこうした最新の動きについて総説する.
インフラマソーム活性化の分子機構【長谷川瑞穂/猪原直弘】
インフラマソームは外来性,内在性の危険分子により活性化され,IL-1β,IL-18分泌や細胞死を起こす.インフラマソームはカスパーゼ-1,ASC とシグナル応答性にかかわるタンパク質(NLRP3,NLRP1,NLRC4,AIM2など)からなる.AIM2を除き,これらのシグナル応答性タンパク質は危険分子を直接には認識しない.NLRP3インフラマソームの活性化には,転写および転写後調節にかかわる2種の刺激が必要であり,後者は危険分子がひき起こすカリウム流出などの共通の細胞内応答と考えられる.本稿ではNLRファミリーでもあるNLRP3などのシグナル応答分子の活性化機構について分子レベルで解説する.
病原体感染によるインフラマソームの活性化【鈴木敏彦】
病原体の感染に伴って誘導される炎症などの宿主応答は,感染症発症に至る病態形成プロセスと,その後の免疫応答を理解するうえで重要な生体反応である.IL-1βやIL-18産生にかかわっているインフラマソームの活性化も,対病原体宿主応答の1つとして注目されている.本稿では各種病原体の感染に伴って誘導されるインフラマソーム活性化機構について解説する.
インフラマソームと自己炎症性症候群【齋藤 潤】
NLRP3インフラマソームの機能異常によって発症する遺伝性疾患として,自己炎症性症候群の1つであるクライオパイリン関連周期熱症候群(cryopyrin-associated periodic syndrome:CAPS)がある.CAPS は,類似の表現型をとる3つの症候群,すなわち家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS),Muckle-Wells症候群およびCINCA症候群の総称である.共通の表現型は自発的もしくは寒冷誘発性の蕁麻疹様発疹と発熱である.重症型では,難聴,髄膜炎,関節拘縮,二次性アミロイドーシスなどをきたす.NLRP3の機能獲得変異は強力な炎症性サイトカインであるIL-1βの過剰産生を誘導し,これにより自己炎症がもたらされる.
インフラマソーム活性化は肥満関連炎症疾患に油を注ぐ【John R. Lukens/Thirumala-Devi Kanneganti】
インフラマソームは微生物やストレスシグナルに応答して形成されるタンパク質複合体である.インフラマソームの活性化は2種の炎症誘導性サイトカイン(IL-1β,IL-18)のプロセシングと分泌を起こす.インフラマソームの誘導するサイトカインは,病原感染時に宿主防御で中心的な役割を果たしていることがよく知られている.最近,インフラマソームが2型糖尿病や動脈硬化などの肥満関連代謝疾患の発症や進行に重要な役割を果たすことが明らかになってきた.最新の研究ではインフラマソームが肥満関連分子群による炎症促進において重要なセンサーとして働くことがわかってきた.さらに,インフラマソームの誘導するサイトカインは,インスリンなどの代謝調節経路を炎症性サイトカインの合成や細胞死の促進により破綻させることが示された.本稿では肥満による炎症性疾患におけるインフラマソームのかかわりについて概論する.
インフラマソームを介した無菌性炎症と心血管病【高橋将文】
動脈硬化や心筋梗塞といった心血管病における炎症の重要性が示されている.心血管病での炎症は,病原体の関与がないことから“無菌性炎症”とよばれているが,その炎症が惹起される機序は不明であった.近年,いくつかの病態における無菌性炎症がインフラマソームとよばれるタンパク質複合体を介して誘導されていることが報告された.心血管病においても,このインフラマソームを介して炎症が誘導されてくることが明らかとなりつつあり,インフラマソームが心血管病に対する新たな治療標的となりうることが示唆されている.
インフラマソームによるIL-18分泌とアレルギー疾患【筒井ひろ子】
IL-18 はIL-1ファミリーに属するサイトカインである.IL-1βと同様,生理活性のない前駆体として細胞内に産生され,カスパーゼ-1により切断された後に,細胞外に生理活性をもつ成熟型・活性型として分泌される.IL-18は,IL-1とは異なる受容体を介してシグナル伝達されることから,異なる名称が付された.IL-18は,NK細胞やTh1細胞からのIFNγ産生を誘導することから炎症性サイトカインとして位置付けられてきたが,アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患にも深くかかわることがわかってきた.

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