実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ:もっとよくわかる!脳神経科学〜やっぱり脳はスゴイのだ!
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実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ

もっとよくわかる!脳神経科学

やっぱり脳はスゴイのだ!

  • 工藤佳久/著
  • 定価 4,200円+税
  • 2013年08月発行
  • B5判
  • 255ページ
  • ISBN 978-4-7581-2201-6
  • 販売状況: 注文可能
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難解?近寄りがたい?そんなイメージを一掃する驚きの入門書!研究の歴史・発見の経緯や身近な例から解説し,複雑な機能もスッキリ理解.ユーモアあふれる著者描きおろしイラストに導かれて,脳研究の魅力を大発見!

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目次

第1部 基礎編 ― システムとしての脳の理解

1章 脳はどのように理解されてきたか

1. 形から類推できない脳の働き ― 脳は不可思議な臓器
2. エジプト時代,そしてギリシャ・ローマ時代の脳
3. 脳研究の闇の時代 ― 心臓に奪われた心の座
4. 18世紀後半~19世紀にかけて得られた脳研究への手がかり ― 生物電気の発見から機能局在の発見へ
5. 19~20世紀にかけて進歩した顕微鏡による研究 ― ゴルジとカハールの論争
6. 20世紀の脳研究:ついに崩された難攻不落の砦 ― 電気生理学的解析と分子生物学的解析
7. 21世紀の研究に残されている難問 ― まだまだ不明な部分が多く残されている

2章 脳はさまざまな部品で構成される複雑な組織

1. やっぱり形と機能には相関性がある
2. 脳の形を見てみよう
3. ニューロン ― 脳機能の主役
4. グリア細胞 ― 脳機能の第2の主役
5. 脳血管 ― 脳内に張り巡らされるライフライン
6. 神経回路網とその可塑性 ― ニューロンの数だけでは計れない能力

3章 脳の働きを生み出すしくみ

1. 小さな細胞に組み込まれたさまざまな驚くべきしかけ
2. 静止膜電位とイオンチャネル ― 生きている細胞の証
3. 活動電位とイオンチャネル ― 活動する細胞の証
4. 生体における情報の形 ― インパルスとよばれる信号
5. 活動電位の伝導 ― 神経線維を減衰することなく伝わる情報
6. シナプスにおける情報の伝達 ― 脳機能発現の最重要システム
7. シナプスにおける情報の統合 ― 何千何万のニューロンからの情報を,活動電位の形で表現する
8. インパルスの粗密がつくる,脳内で使われる言葉 ― 無限バーコード
9. 自己組織化する脳 ― ソフトウェアは遺伝子と自らの意思

第2部 機能編(感覚) ― 外界を認識するしくみ

1章 さまざまな感覚刺激の情報化

1. 感覚の種類と感覚細胞 ― さまざまな刺激を感じるしくみ
2. 感覚の周波数符号化と投射 ― 感じているのは脳か?体か?
3. 感覚と情動および記憶 ― おいしさは味だけじゃない

2章 体性感覚 ― 体内に張り巡らされたセンサー

1. 体性感覚とは? ― 意識しなくてもいつもある
2. 皮膚に分布する多様な感覚器 ― 体を守るセンサー
3. 筋肉や腱にある状態を感知するしくみ ― 固有感覚
4. 感覚器における信号の発生 ― 刺激はどうやって信号になる?
5. 求心性神経伝導路 ― 感覚信号の通り道
6. 感覚信号の終着点 ― 感覚のホムンクルス

3章 視覚のしくみ

1. 眼球は自動焦点・自動絞り・手ぶれ防止つき立体高感度カメラ
2. 光エネルギーを神経信号に変換するしくみ ― 視細胞は光電素子
3. 網膜内での視覚情報処理 ― 光や色を神経信号に変えるしくみ
4. 網膜から脳への信号の通り道 ― 位置情報を保ったまま送る
5. 一次視覚野での情報処理 ― 円柱状に受容する
6. 脳が対象物を認識するまで

4章 聴覚のしくみ

1. 空気の振動を音センサーに取り込むまで
2. 蝸牛で音を識別する ― コンパクトに収納された広領域音センサー
3. 有毛細胞で音を電気信号に変換する
4. 内外の有毛細胞が音を“正しく” “聞き分ける”
5. 音情報の脳への通り道 ―音源の位置も感知できる

5章 嗅覚のしくみ

1. 嗅上皮と嗅覚受容細胞 ―におい物質はまず粘液に溶け込む
2. 嗅覚受容細胞での情報変換 ―どんなにおいでも1パターン
3. 嗅覚受容細胞に多様性をもたらす遺伝子
4. 多様なにおいをかぎ分けるしくみ ―意外に曖昧?
5. 嗅覚受容細胞から脳へ ―整理,修飾が必要
6. 嗅覚情報が脳で識別されるしくみ

6章 味覚のしくみ

1. 味はいくつに分けられる?
2. 基本味は5種認識されている
3. 味覚器とその分布 ―コンパクトに収納された味細胞
4. 味はどうやって情報に変換されるのか?
5. 味覚の中枢経路 ―味は脳でどのように感じられているのか

第3部 機能編(運動) ― 脳からの運動命令の発信とその制御

1章 神経信号が運動を生じるしくみ

1. 随意運動の実行ステップ ― 単純? いやいや複雑巧妙!
2. 骨格筋とその運動ニューロン支配 ― 柔らかに体を動かすしくみ
3. 2種の下位運動ニューロン ― 大胆さと繊細さ
4. 脊髄分節と神経の入出様式 ― 脊髄の保護と入出力の両立
5. 運動単位と運動ニューロンプール ― 1個で多数を支配
6. 運動ニューロンから骨格筋への伝達 ― 神経筋接合部
7. 骨格筋の構造とその興奮 ― ここにも活動電位が生じる
8. 興奮収縮連関 ― Ca2+を引き金としたダイナミックな反応
9. 脊髄における運動制御 ― 脊髄だけでも結構できる

2章 運動の企画と円滑な運動を司るしくみ

1. 運動命令の発信拠点 ― 運動のホムンクルス
2. 皮質脊髄路 ― 正確な随意運動にかかわる情報ハイウエー
3. 腹内側経路 ― 平衡,眼球運動,歩行,姿勢維持にかかわる
4. 大脳皮質による運動の企画 ― 視覚や記憶も総動員
5. 運動野における運動の符号化 ― ニューロン群が描く模様
6. 大脳基底核 ― デリケートな運動をつくり出す複雑なループ機構

3章 小脳による運動調節

1. 小脳は筋群をよりよく協調させる
2. 小脳の構造 ― 大脳より細かいひだをもつ
3. 小脳の神経回路 ― 整然と並んだ回路素子
4. 小脳における機能局在 ― ここにもホムンクルスが

第4部 脳と行動編 ― しくまれた自動調節装置

1章 視床下部 ― ホメオスタシスのコンダクター

1. 視床下部の形と機能 ―小さな体で大きな仕事
2. 視床下部の驚くべき機能 ―下垂体からのホルモン分泌

2章 自律神経系のコントロール ― 視床下部のもう1つの大仕事

1. 交感神経と副交感神経による調節 ― 活動か? 休息か?
2. 自律神経系の神経回路 ― 1つの臓器に2つの指令
3. 自律神経系から支配臓器への神経信号
4. 支配臓器を多様に制御 ― カギは神経伝達物質受容体
5. 内臓感覚神経とその役割 ― おもらしをしない理由

3章 脳の広範囲調節のしくみ

1. 神経伝達物質を使った広範囲調節系 ― 実はアナログ
2. アストログリアによる広範囲調節系 ― まさかグリアが!

第5部 高次脳機能編 ― うまく生きていくための能力

1章 情動

1. 情動発現メカニズムの論争 ― 脳が先? 身体が先?
2. 情動発現と大脳辺縁系 ― 情動は脳のどこで起こる?
3. ぺーペズの回路 ― 大脳皮質と視床下部の橋渡し
4. 情動発現と扁桃体 ― 恐怖を記憶する
5. 快情動の中枢 ― 幸せはどこから生まれる?

2章 言語能力

1. ヒトと言語 ― 言葉を操れるのは人間だけ
2. 言語能力の発達 ― カギは咽頭室の位置
3. 失語症から学んだ言語野の存在
4. 脳画像による言語能力の解析 ― 脳のどこが活動している?
5. 言語の獲得 ― 子どもは言葉をどう覚えるか

3章 記憶能力

1. 記憶は脳機能の基礎である
2. 記憶の側面 ― 昔を思い出したり自転車に乗ったり
3. 記憶物質説の盛衰 ― 記憶は食べられる?
4. 記憶のシナプス仮説 ― 伝達効率が変化していた!
5. シナプスの可塑性 ― 解かれてゆく記憶のしくみ
6. 記憶における海馬の重要性 ― 高等動物の場合
7. 海馬で何が起こっている? ― グルタミン酸受容体と可塑性
8. 記憶の分子メカニズム ― ここまでわかった記憶の謎

第6部 脳の疾患編 ― 脳の故障がもたらす多様な障害

1章 神経疾患

1. 筋力の低下が起こる疾患 ― 筋への情報が遮断される
2. 運動協調性の失調を主な症状とする神経疾患
3. 記憶障害を生ずる疾患 ― ニューロンの大量脱落
4. てんかん ― 脳が暴走する神経疾患

2章 精神疾患 ― 脳機能の発現メカニズムに変調をきたす

1. 過度なストレスが引き起こす心の病
2. 統合失調症 ― 脳科学者の大きな課題

第7部 「こころ」編 ― 脳から心を考える

1章 脳の発達と心の発達

1. 「こころ」とは何か
2. 動物に心はあるか
3. 心の成長

2章 心をつくり出す脳機能

1. 心の発現にかかわる脳のしくみ
2. ミラーニューロンが心の成長に役立つ

3章 危うい心

1. 心の病 ― 心の病からみえる心の実体
2. 洗脳の恐怖

4章 心=脳の考察

1. 臨死体験 ― 魂のせいか? 脳機能か?
2. 脳と心は別次元? ― 晩年のペンフィールドとエクルズの結論

Column

  • ゴルジが考案した染色法 ― ゴルジは強く染めすぎた?
  • たった1つの遺伝子の欠失で行動が変わる!
  • ブロードマンは脳の機能局在を予見していた! ─ ブロードマンの脳地図
  • パッチクランプ法 ─ チャネル分子の活動を目の当たりにする方法
  • 脳のなかの幽霊 ― 脳の柔らかさか? 曖昧さか?
  • 画像による視覚野の研究 ― “見て”わかる!
  • 高性能眼球カメラを支える役者 ― 眼球運動の重要性
  • 平衡感覚も聴覚も有毛細胞が感じとる
  • 「うま味」が基本味覚「UMAMI」と認知されるまで
  • カエルの脚が生んだ成果 ― 中枢シナプスのモデル標本
  • 単シナプス反射と多シナプス反射 ― 簡単な測定が生んだ重要な発見
  • ロボットサッカー選手が人間のサッカー選手に勝てる条件
  • 腸管は小さな脳
  • LSD25 ― 精神異常を生じさせる薬物
  • 情動がなくなってしまった! ― 前頭葉皮質が人格に及ぼす影響
  • ミラーニューロン(物まねニューロン)の発見 ― ひょっとすると人間性の発達につながっているかも?
  • グルタミン酸研究 ― 日本の神経科学研究者の大活躍
  • 密造麻薬が引き起こしたパーキンソン病
  • DHAは脳に効く?

『1章 脳はどのように理解されてきたか』より抜粋

もっとよくわかる!脳神経科学 立ち読み1 もっとよくわかる!脳神経科学 立ち読み2

-後略-

書評・感想
  • 初心者向けの神経科学分野の教科書は,意外なことに,多くありません.批判を覚悟で言い切ってしまえば,より正確には「多くない」のではなく,「ない」と表現したほうが現状に近いと思います.

    これは実に不思議なことです.なぜなら神経科学の研究者は数が多いからです.この日本薬理学会を見渡しても,たとえば,年会で発表される演題の30〜40%が中枢神経系に関するものです.神経科学は薬理学分野でも最大勢力の一つなのです.

    にもかかわらず現在,神経科学の書物は,本格的でブ厚い専門家向けの教科書か,あるいは逆に,細部の記述が曖昧な一般向け書籍(これは実にたくさんあります)かの,両端に偏極しています.私は毎年のように,若い学生たちから「脳を勉強したいのですが基礎的な教科書を紹介してください」と頼まれますが,現状では海外の初心者向け教科書を紹介せざるを得ません.

    適度な難易度をもった日本語の教科書を切望していたところに登場したのが,ここで紹介する『もっとよくわかる!脳神経科学』です.著者の工藤佳久先生は,すでに前著『脳とグリア細胞』(技術評論社)で,一般向けに脳の解説書を書いています.これは豊富なイラストを用いて,脳の仕組みをグリア細胞の視点からわかりやすく説明するだけでなく,その裏ではニューロン一辺倒の研究に偏りがちな神経科学界への警鐘をならす野心的な名著として話題になりました.

    その著者が,今回は神経科学の初心者に向けて解説する本を出したわけですから否が応にも期待が高まります.一気に読み終えた今,期待は確信に変わりました.今後は学生たちに本書を「教科書」として第一推薦図書とします.

    私が感じた同書のセールスポイントは大きく4つあります.

    一つ目は扱う範囲のバランスのよさです.世間では著者自身の専門領域に強い思い入れを感じさせる本が多い中,本書では“えこひいき”なく,広い領域を俯瞰しています.各章にほぼ10ページ強が割り当てられているという事実が,バランスの取れた教科書であることの傍証でしょう.

    二つ目のポイントは,記述が明快でわかりやすいことです.一つひとつの文章は比較的短く,小気味よいテンポで進みます.理系文章のお手本のような作文です.文章に付せられた全150点近くもあるイラストを,著者自ら描いていることも魅力的です.挿絵を外注すると痒いところに手が届くとは言えないことが多いものですが,神経科学の本質を理解している当人が描いている教科書は貴重です.しかも愛嬌のあるイラストばかりで親近感を覚えます.

    三つめは時空軸の質感です.神経科学的な発見の歴史的経緯から,最新の知見までを,一気に辿ることのできるスピード感だけではありません.さりげなく「自己組織化」の細目が設けられていたり,スパイク列をバーコードに喩えたり,手ブレ防止やおもらしなどの身近な現象から説明したりと,絶妙な工夫が心地よく広がる読書体験をもたらしてくれます.ここまでこだわっていて,まだ書き足らなかったのでしょう.こぼれ話風なトピックを扱う小コラムが19個も散りばめられていて,これが通読に耐える構成に一役買っています.

    四つ目のポイントは,真の意味での初心者へ配慮です.脳研究を志す人の多くは,「私とはなんだろう」「心はどこから生まれるのだろう」という,少々青臭い疑問が,興味のきっかけになっていることでしょう.少なくとも私はそうでした.ところが現実に神経科学に携わるようになると,そんなナイーブな疑問はどこへやら.ふと気づけば,目の前の課題に没頭するだけの専門バカになっています.この本では,最後の4章の焦点を「こころ」に絞っています.臨死体験や洗脳までも真正面から扱います.「そうだ!私が本当に知りたかったことは,マウスやハエの脳ではなくて,ヒトの心の仕組みだった」と,思わずハッとさせられました.こうした気配りが,本書を「ただの教科書」で終わらせない独自の存在にしています.

    本書は,厳密にいえば「教科書」としてではなく,名シリーズである『実験医学』の別冊として出版されたものです.最後に出版社の方にお願いがあります.これほどの本を,安易に絶版になさらず,末永く書店に並べてください.若い神経研究者にとって大きな福音となると確信しています.

    池谷 裕二(東京大学大学院 薬学研究科 薬品作用学研究室) 『日本薬理学雑誌第143巻第1号(2014年1月)』より転載
  • 生理学・解剖学・病理学の基礎を固める上で、脳は難問中の難問である。その副教材として期待できる1冊である。(医療系専門学校)

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  • 【本書名】実験医学別冊 もっとよくわかる!シリーズ:もっとよくわかる!脳神経科学〜やっぱり脳はスゴイのだ!
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