実験医学 2005年3月号 Vol.23 No.5

ここまで解かれた発生の原点! 生殖細胞分化とエピジェネティック制御

  • 小林 悟/企画
  • 2005年02月21日発行
  • B5判
  • 113ページ
  • ISBN 978-4-89706-834-3
  • 定価:1,800円+税
  • 在庫:なし
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《企画者のことば》次世代に遺伝情報を伝達する生殖細胞は,どのような機構で分化するのでしょうか.また,どのようなメカニズムにより卵は全能性を獲得できるのでしょうか.発生の原点ともいうべきこれらの問題を解く鍵となる研究が精力的に行われつつあります.生殖細胞の前駆細胞が選択され,生殖幹細胞を経たのち多くの生殖細胞を生み出す過程に潜む多くの謎を解き明かす研究の一端に触れていただけたらと思います.

生殖細胞形成を中心とする初期発生の研究は,ゲノムの再プログラム化やエピジェネティクス研究と深く関連し,近年飛躍的な進展を遂げています.さらに,再生医療への応用を視野に入れた研究展開に大きな注目が集まっています.本特集では,トランスクリプトーム解析や生殖幹細胞の培養を用いた新たな研究ストラテジーの成果に加え,生殖細胞特異的なエピジェネティック変化,non-coding RNA経路と減数分裂とのかかわり,そして核移植技術による再生医学への応用までを含めた最新知見を第一線の研究者にご紹介いただいています.

目次

特集

ここまで解かれた発生の原点!
生殖細胞分化とエピジェネティック制御
企画/小林悟
概論〜生殖細胞研究の動向【小林悟】
次世代に遺伝情報を伝達する生殖細胞は,どのような機構で分化するのでしょうか.また,どのようなメカニズムにより卵は全能性を獲得できるのでしょうか.発生の原点ともいうべきこれらの問題を解く鍵となる研究が精力的に行われつつあります.生殖細胞の前駆細胞が選択され,生殖幹細胞を経たのち多くの生殖細胞を生み出す過程に潜む多くの謎を解き明かす研究の一端に触れていただけたらと思います.
トランスクリプトーム解析によるショウジョウバエ生殖細胞形成機構の解明【重信秀治/小林 悟】
ショウジョウバエの生殖細胞は胚発生過程の初期に胚の後極に形成される極細胞に由来する.極細胞は胚内を移動し,生殖巣に取り込まれ,成熟した生殖巣の中で最終的に卵や精子へ分化する.われわれは生殖系列形成の遺伝的ネットワークの全体像を明らかにすることを目標として,セルソーターで単離した極細胞のトランスクリプトーム解析を行っている.ゲノムワイドな視点で生殖細胞形成過程をどう捉えることができるのか,これまで発生遺伝学的,実験発生学的手法によって蓄積されてきた知見とわれわれの研究成果とを関連づけて議論したい.
ショウジョウバエにおける生殖幹細胞の形成機構【浅岡美穂】
多くの生物において,生殖幹細胞は個体が卵や精子を安定して継続的に産生することを可能にし,子孫繁栄のチャンスの増大に役立っている.このような生殖幹細胞は発生過程においてどのように形成されるのだろうか.近年,ショウジョウバエを用いた研究により,この問題に対する解答の糸口がようやくみえてきた.本稿では,この系を取り上げ,生殖幹細胞の形成機構について最新の知見を紹介したい.
in vitroでのショウジョウバエの生殖幹細胞の分裂・分化機構の解析【仁木雄三/山口隆史】
ショウジョウバエの生殖幹細胞が異常増殖するbag-of-marbles(bam)突然変異体を利用し,成長因子Dpp(BMP4のホモログ)を加えた培地で,雌生殖幹細胞の長期的・安定的な細胞培養化に成功した.さらに,培養した生殖幹細胞に,野生型bam遺伝子を発現させると,正常に卵形成が進行した.また,bam生殖幹細胞を初期胚に移植すると,再び生殖幹細胞になり,正常な生殖細胞にも分化することが明らかになった.これは,異常増殖したbam生殖幹細胞でも,始原生殖細胞としての機能を保持していることを示唆している.
マウス胚発生過程におけるエピジェネティック制御【阪上守人/岡野正樹】
胚発生過程において多くの遺伝子発現がDNAメチル化あるいはヒストン修飾によるエピジェネティック制御を受けている.哺乳類胚発生における最初の細胞分化によって,将来個体を形成する胚体細胞系列と胎盤などを形成する胚体外細胞系列が生じる.DNAメチル化制御機構,X染色体不活性化ならびにヒストン修飾の研究によって,この2つの細胞系列におけるエピジェネティック制御機構の不均等性が明らかになってきた.
体細胞核移植による初期発生能の再獲得【大田 浩/若山照彦】
体細胞を未受精卵へ核移植するとドナー核は初期化されて全能性を再獲得し,その結果クローン動物が誕生する.しかし,いずれの動物種においてもその成功率はわずか数%であり,また,クローン動物の多くにはオリジナルにはない異常な表現型を有することが報告されている.このような表現型は子孫へ伝わらないことから,エピジェネティックな異常によるものと考えられており,現在その原因の解明や改善法の開発が試みられている.本稿では,今日までに得られている主な研究結果を紹介し,今後の課題について考察したい.
マウス生殖細胞系列のエピジェネティクスと減数分裂の異常【林 克彦/松居靖久】
マウスの減数分裂は雌雄に応じた時期の生殖細胞に特異的に誘導されるが,シナプトネマ複合体やDNAの組換えにかかわる分子機構に比べ,減数分裂の進行を制御する転写調節など上位の分子機構は不明な部分が多い.最近の研究の結果,体細胞分裂とは異なった生殖細胞特異的なエピジェネティックな変化やnon- coding RNA経路が減数分裂の進行に必須であることが明らかになってきた.

トピックス

カレントトピックス
Rett症候群の発症機構〜MeCP2標的遺伝子DLX5の単離とそのメカニズム【堀家慎一】
オートファジーは細胞内侵入性細菌から細胞を防御する【中川一路】
CDKインヒビターp27はKPCユビキチンリガーゼ複合体によりG1期に分解される【嘉村 巧/中山敬一】
Sema6Dシグナルによる心筋のパターニング【豊福利彦/菊谷 仁】
機能獲得変異p53ノックインによるリー・フラウメニ症候群モデルマウスDLX5の単離とそのメカニズム【岩熊智雄】
News & Hot Paper Digest
ヒストンH2AXによる姉妹染色体組換えの制御【胡桃坂仁志】
ヒトの脳をつくり出した進化過程と遺伝子群【遠藤俊徳】
水痘帯状疱疹ウイルス感染におけるMannose 6-リン酸受容体の意義【森 康子】
VEGFが喘息にも関与する【西谷真人】
ミトコンドリアのβ型外膜タンパク質への経路【美宅成樹】

連載

クローズアップ実験法
InSituチップを用いたwhole-mount in situ hybridization法【小笠原道生/佐藤矩行/野地澄晴】
Update Review
ケミカルゲノミクスの発展〜米国における最近の動向と日本独自のスクリーニングセンター確立の可能性【玉野井冬彦/渡辺 勝】
私が名付けた遺伝子
第3回 nou-darake【阿形清和】
疾患解明Overview
第11回 てんかん〜責任遺伝子解明の進展とその後の課題【兼子 直/金井数明/岡田元宏/桑原 聡/廣瀬伸一】
ラボレポート−留学編−
北国,ミネソタより〜University of Minnesota/Howard Hughes Medical Institute【新見 修】

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  • 【本書名】実験医学:ここまで解かれた発生の原点! 生殖細胞分化とエピジェネティック制御
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