クローズアップ実験法

2022年6月号 Vol.40 No.9 詳細ページ
Split-GFPプローブを用いた生細胞におけるオルガネラコンタクトサイトを可視化・定量する技術
田村 康,田代晋也
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Split-GFPプローブを用いた
生細胞におけるオルガネラコンタク
トサイトを可視化・定量する技術
田村 康,田代晋也

何ができるようになった?
オルガネラコンタクトの解析は ,電子顕微鏡解析などの細胞の固定化を介する方法が一般的で ,その
動態解析は困難であった.本 Split-GFP プローブを用いることで,生きた細胞のオルガネラ間コンタクト
を簡便に可視化し,その動態を解析することが可能になった.

必要な機器・試薬・テクニックは?
出芽酵母や培養細胞への遺伝子導入技術と培養装置に加え,蛍光顕微鏡が必要である.また条件し
だいでフローサイトメーターを用いた解析が可能である.本 Split-GFP プローブ発現プラスミドは理
研 BRC から入手できる.

はじめに

れらの問題点を克服し,オルガネラコンタクトを生き

近年,オルガネラコンタクトサイト(オルガネラ間

た細胞で,簡便に,感度よく検出できる.さらにライ

の接触部位)が,脂質やイオンなどの物質輸送,ミト

ブセルイメージングによりその動態を追跡可能な実験

コンドリア分裂,オートファジー,アポトーシス,UPR

手法である.

応答などといった多彩なイベントに関与することが報
告され,その機能が注目されている 1).
オルガネラコンタクトサイトの観察や定量は,電子

原理

顕微鏡解析,Proximity Ligation Assay といった方法

Split-GFP はその名の通り,GFP を 2 つに分割した

が主流であるが,これらの方法では,細胞を固定化し

タンパク質である.GFP を構成する 11 本のβストラン

なければならず,生細胞におけるオルガネラコンタク

ドのうち,N 末端側 10 本(GFP1-10)と,C 末端側の

2)

トの動態を解析することは不可能である.FRET や
3)

ddFP (dimerization-dependent fluorescent protein)

1 本のβストランド(GFP11)で分割した組合わせが,
タンパク質間相互作用の検出に使用されている 4).わ

を用いて,生細胞でオルガネラコンタクトを解析した

れわれは,この Split-GFP をオルガネラコンタクトの

報告もあるが,少なくともわれわれが行った限りでは,

可視化に利用可能であることを見出した 5)6).原理は単

検出感度が低いという問題点があった.

純で,GFP1-10,GFP11 それぞれを,異なるオルガネ

今回われわれが確立した Split-GFP プローブは,こ

ラ膜に発現させるだけである(図 1).単純ではあるが,

Visualization of interorganelle contact sites using Split-GFP probes
Yasushi Tamura/Shinya Tashiro:Faculty of Science, Yamagata University(山形大学理学部理学科)

実験医学 Vol. 40 No. 9(6 月号)2022

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