監修/佐藤隆一郎(東京大学大学院農学生命科学研究科)

本コンテンツでは,食品学分野における基礎医学にも通じる第一線の研究成果をご紹介いただきます.予防医学を実現する食品の秘められた力にご注目ください.(編集部)

本コンテンツは,実験医学同名連載(2016年8月号〜2017年7月号予定)からの転載となります.文中の施設,所属名は誌面掲載時のものとなります.

第12回
 食品が育てる腸内フローラ アガロオリゴ糖による腸内環境改善作用

著/内藤裕二,東村泰希 [2017年7月号掲載](2017/10/03公開)


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筆頭著者プロフィール

内藤裕二:1983年,京都府立医科大学卒業,2001年,米ルイジアナ州立大学医学部分子細胞生理学教室客員教授,’05年,独立行政法人科学技術振興機構科学技術振興調整費研究領域主幹,’09年,京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学准教授,’15年,本学附属病院内視鏡・超音波診療部部長を経て,現在に至る.専門:炎症性腸疾患,腸内フローラ,消化器病学.学会役員:日本酸化ストレス学会副理事長,日本消化器病学会学術評議員,日本消化器内視鏡学会財団評議員,日本消化管学会代議員,日本消化器免疫学会理事,日本コエンザイムQ協会理事,日本抗加齢医学会理事,日本微小循環学会理事,日本フードファクター学会理事,国際フリーラジカル学会アジア支部事務局長.

連載のおわりに

明治維新後,白米を常食とする食生活が庶民層に定着し,しだいに脚気が日本人の国民病となった.実際,日露戦争において動員兵の約25%は脚気を発症していたという.その頃,ノーベル賞受賞者エミール・フィッシャーのもとでの留学を終えた,東京帝国大学・農芸化学者 鈴木梅太郎博士は米ぬかよりオリザニン(ビタミンB1)を脚気の原因成分として発見した.「ビタミン」という概念のなかった時代のことである.その後ビタミンという造語が提唱され,1929年ノーベル生理学・医学賞はビタミン発見の功績で2人の欧州人研究者に授与された.残念なことに,そこには梅太郎博士の名前はなかった.同時期に同じくノーベル賞受賞者オスワルドのもとでの留学を終えた東京帝国大学・池田菊苗博士は昆布よりうま味成分を発見し,その後うま味調味料の工業化が実現した.100年のときを経て,「umami」は国際語として認知されるようになった.こうしてみると100年前,日本における「食」にまつわるサイエンスは当時の栄光に浴することはなかったものの,世界の最先端を走っていた.その後の100年は,感染症,がん,遺伝子… と生命科学の興味は多岐にわたり,「食」への関心度はしだいに低下していった.しかし40億年近い生命進化の歴史を振り返ると,地球上に生息する人類を含むすべての生物は常に飢餓と闘い,「食」への強い執着心とともに生き抜いてきたことに気づかされる.生物種としての存続は飢餓からの回避に強く依存し,「食」はイコール「生命」とも言える.もし生命の根源である「食」をないがしろにする生物がいるとしたら,その生物種の存続は危うい.人類にとって輝かしい未来を切り拓くためにも,21世紀は再び「食」への関心を喚起させ,新たな食の科学を展開する必要性を強く感じる.疾病を発症する前段階の「未病」状態を持続させ,発症遅延など「予防医学」を実現するのは,日常的な運動習慣と適切な食習慣の励行に他ならない.しかし超高齢社会において運動習慣の継続は困難となり,必然的に「食」の貢献度はますます高くなる.本連載「予防医学の扉を開く 食品に秘められたサイエンス」が,読者の「食」への興味を少しでも喚起できたら,望外の喜びである.

本連載監修 佐藤隆一郎

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