【速報】平成24年度の科研費採択状況(2012.08.21 掲載)

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「速報」では常に変更している科研費の制度に関して,本書の内容から更新された情報を児島先生に随時紹介していただきます.

【速報】平成24年度の科研費採択状況(2012.08.21 掲載)

図1 科研費(補助金分・基金分)配分状況一覧(平成24年度 新規採択分)

昨年,基盤研究(C),若手研究(B),「挑戦的萌芽研究」の3種目において開始された科研費の基金化だが,本年度は新たに基盤研究(B)と若手研究(A)においても基金化が実施された.ただし完全な基金化ではなく,1研究課題ごとに研究費総額のうち500万円までが基金化の対象となった.これによって補助金分と基金化分との2つの資金管理が必要となり,事務手続きが煩雑になると考えられる.また研究費総額における基金化分の割合は少ないために,基金化のメリットは十分に生かされないとの指摘もある.

しかしこれは科研費全種目の完全基金化への1ステップであり,来年度はさらに基金化種目の拡大を大いに期待したい.

応募件数の変化

応募件数は平成24年度には平成23年度に比べて1,508件減少した(図1).個々の研究種目において応募件数の減少が著しいのが若手研究(B)である.若手研究(B)の応募件数は平成23年度の22,688件が,平成24年度には20,867件と,1,821件も減少した.これは平成22年度に設定された若手研究の受給回数制限のために,これまで若手研究に応募していたものが基盤研究に移ったことと,平成23年度の採択数の大幅増加により継続課題が増えたためと考えられる.また若手研究(A)でも平成23年度の1,907件から平成24年度には1,796件と111件も減少した.一方で基盤研究(C)は若手研究から種目変更をしたものが増えたためであろうが,722件増加した.基盤研究の中では基盤研究(B)のみが応募件数が減少した.研究期間の最短年数が2年から3年になったことで,継続課題が増えたことが影響しているのだろうか?

また新学術領域研究は,新しくスタートする研究領域が平成22年度の36領域から,平成23年度には20領域に激減した.そのため平成23年度にスタートした領域の公募が行われた平成24年度には,応募件数と採択件数も激減した.

採択率の変化

科研費の新規採択率だが,平成24年度の新規採択率は平成24年6月の発表データでは28.4%(新学術領域研究,研究活動スタート支援,特別研究員奨励費を除く)と前年度の28.6%と,ほとんど変化はなかった.

個々の種目の新規採択率では,平成23年度から基金化された基盤研究(C)と若手研究(B)の新規採択率が30.0%,挑戦的萌芽研究が29.9%と,目標とされた新規採択率約30%をキープしている.

目立っているのは配分額の大きな基盤研究(A),基盤研究(B),若手研究(A)の3種目で新規採択率が低下したことだ.これらは前年度と比べて基盤研究(A)では1.9%,基盤研究(B)では0.9%,若手研究(A)では1.9%と低下した.このように配分額が大きな3つの種目で新規採択率が低下したことで,その影響を受けた中堅・ベテランの研究者が多いと考えられる.

研究費の配分額の変化

1課題当たりの配分額は年々減少しており,平成24年度は前年度に比べて10.5万円減少した.

個々の種目別にみていくと,基盤研究(S)のみが増額されただけで,基盤研究(A), (B), (C),若手研究(A), (B),挑戦的萌芽研究などが軒並み配分額が減少した.特に基盤研究(B)で25.7万円減少と中堅の研究者にとって厳しい内容だった.また若手研究(A)ではさらに減少幅が大きく,28万円の減額だった.

図2 科研費(補助金分・基金分)配分状況一覧(平成24年度 新規採択+継続分)

新規採択+継続分の傾向

新規採択+継続分の採択率は52.1%とこれは平成23年度よりも2.4%上昇した(図2).採択件数も大幅に増加しているのは,昨年度に採択件数が大幅に増加した基盤研究(C),若手研究(B),挑戦的萌芽研究の継続分が影響していると考えられる.これは基盤研究(C)と挑戦的萌芽研究で採択件数と採択率が大幅に増加していることから裏付けられる.ただし若手研究(B)に関しては,採択回数の制限のためだろうか,昨年大幅に採択数が増えたにもかかわらず,増加はわずかである.

以上,平成24年度も基盤研究(C),若手研究(B),挑戦的萌芽研究が採択率30%を確保したのが素晴らしいことだと思う.その一方,中堅研究者が頼りにしている基盤研究(B)に関しては,ここ数年よくなる傾向はなく,むしろ状況は悪くなるばかりだ.来年度は基盤研究(B)ももっと充実して欲しいと望む.

参考情報

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プロフィール

小島先生 写真
児島 将康(Masayasu Kojima)
’88年,宮崎医科大学大学院博士課程修了(医学博士).日本学術振興会特別研究員を経て,’93年,国立循環器病センター研究所生化学部室員,’95年より同室長.’01年より久留米大学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門教授.研究テーマと抱負:研究テーマは生理活性ペプチドの探索と機能解明.グレリンを中心とした摂食・代謝調節の研究.残り少なくなった未知の生理活性ペプチドを1つでも発見して,グレリンのときのような興奮を味わいたい.
趣味:クラシック音楽.最近のお気に入りはHugo Wolf の歌曲.
座右の銘:師匠の松尾先生から受け継いだ言葉“Hitch your wagon to a Star!”高い望みを抱き,理想に燃えよ!

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