[Opinion―研究の現場から]

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本コーナーでは,実験医学連載「Opinion」からの掲載文をご紹介します.研究者をとりまく環境や社会的な責任が変容しつつある現在,若手研究者が直面するキャリア形成の問題や情報発信のあり方について,現在の研究現場に関わる人々からの生の声をお届けします.(編集部)

第120回 若手の会を通じた学生間の交流機会

「実験医学2020年6月号掲載」

研究や勉学に励み,アカデミアや企業への就職を志す大学院生にとって,同じ分野にいる仲間と知り合い,情報交換を行う機会は重要である.特に,私の研究分野である「生物物理学」は,人によって対象も手法もさまざまであり,所属する研究室にいるだけでは,多様な研究について知ったり,その研究者と知り合えたりする機会がなかなか得られないと感じている.そこで今回は,「生物物理若手の会」の活動について紹介しつつ,大学生および大学院生の交流の大事さを述べようと思う.

「生物物理若手の会」(以下,本会)は,生物物理学を専攻する,あるいは興味をもっている全国の大学生・大学院生・若手研究者が集うグループである.平時は各地方支部 (北海道・関東・中部・関西・九州) にて活動が行われ,例えば関西支部では,参加者の持ち回りで自身の研究内容の発表や,興味をもった論文の紹介を定期的に行っている.また関東支部では,他分野の若手の会(分子科学若手の会,脳科学若手の会,生化学若い研究者の会,細胞生物若手の会)と合同で年に一回のセミナーを行い,招聘した先生方による講演や,学振を取得した方に申請書作成のポイントやアドバイスを話していただく学振セミナーを催している.交流の機会を増やしたいと願う学生は,こういった支部会に参加することで,同じ大学の他研究室の学生や,他大学の学生と交流することができ,自らの知見を広げるきっかけとなるだろう.しかし,可能なら近郊の学生だけでなく,全国の学生と交流したいと思うのではないだろうか.

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そこで,本会では全国の参加者が集えるイベントを毎年催している.8月に行われる「夏の学校」という合宿セミナーである.本セミナーは毎年各支部がもち回りで担当し,各地方で通例3泊4日の日程で,招聘した先生方による講演や,参加者同士によるグループディスカッション,賞を用意したポスター発表などを行う.このセミナーに全国から,生物物理学に興味をもち,また専攻分野の異なる学生たち(なかにはポスドクや助教の方)が集まり,普段の支部活動よりも幅広い交流が行える.もちろん,講演をしてくださった先生方ともお話しでき(むしろこちらがメインと考える参加者も多いかもしれない),参加者の興味ある研究について時間をかけて話し合うことができるだろう.

本セミナーの参加者の多くは大学院生であるが,意欲的な学部生も参加している.研究か企業就職かで悩む彼らにとって,先輩である大学院生の声を直接聞くことができるのは貴重な機会である.同様に修士課程の学生も,博士に進むか否か,今のうちに実践したほうがいいことなどを先輩方に聞くことができる.博士課程の学生やポスドク・助教の方は自身の研究や経験談について語り,のちのアカデミア生活に活きる人脈を形成できるだろう.このようなイベントに参加することで,参加者はおのおの違った恩恵を授かることができるはずだ.

本会についていろいろ話したが (半分宣伝である),今回のコラムで言いたいことは,「学生のうちに交流機会をつくって知り合いを増やすとよいことあるよ」ということだ.研究へのモチベーションを上げる方法の1つは,周囲と刺激しあうことだと私は思う.本会や学会で新たに知り合いをつくることで,今までと違った刺激を受け,また出会えた人に刺激を与えられるかもしれない.そういう機会を,ぜひ学生は自主的につくってもらい,教職員などの先輩方は声高に推奨してくださると,私は嬉しく思う.

篠 元輝(京都大学,生物物理若手の会)

※実験医学2020年6月号より転載

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本記事の掲載号

実験医学 2020年6月号 Vol.38 No.9
酸素環境と臓器機能
感知・応答のメカニズムから最新の酸素イメージングまで

武田憲彦,田久保圭誉/企画
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