【速報】今後,いくつかの種目の申請書が電子化・カラー化され、「引き戻し」が可能となる(2023.03.08掲載)

執筆:久留米大学 分子生命科学研究所児島 将康

 令和5年3月1日より「研究活動スタート支援」,ならびに「海外連携研究」〔従来の国際共同研究強化(B)から名称変更〕の公募がはじまった.締め切りは5月10日(水曜日)の16時30分だ.

1)申請書の電子化およびカラー化

 上記2つの公募自体は,これまでとほとんど同じ内容だが,今後の科研費公募において重要な変更点がある.それは審査資料の電子化およびカラー化だ.

 これまで審査委員が審査において使用するのは,日本学術振興会から送られてくる研究計画調書の冊子だった.冊子はモノクロ(グレースケール)で印刷されており,カラーの図や写真などはモノクロ印刷を前提として作成しなければならなかった.それが今回の公募からはカラーのPDFファイルを用いて行うことになった.ただし現時点で電子化・カラー化の対象となる研究種目は,

  • 令和5(2023)年度「研究活動スタート支援」「海外連携研究」「国際共同研究強化」「帰国発展研究」
  • 令和6(2024)年度「特別推進研究」「基盤研究(S)」

である.

 具体的な審査方法について,まず従来の冊子体での審査はなくなる.審査委員は電子申請システム上で,応募課題の研究計画調書(PDFファイル)を閲覧して審査するか,あるいはパソコンやiPadなどのタブレットを用いて審査したり,もちろんPDFファイルを印刷して紙媒体でも審査できる.重要なことはシステム上のPDFファイルはカラーであることだ.令和5年度審査においても申請書はPDFファイルでチェックできたが,カラーではなかった.それが今後はカラー化されるということだ.やはり図や写真などはカラーの方が理解しやすいし,色文字も使い方によっては非常に効果的だ.

 基盤研究(A,B,C),若手研究,挑戦的研究については電子化・カラー化される時期はまだ未定であるが,いずれそうなると思われる.

2)申請書の「引き戻し」

 その他,今回の「研究活動スタート支援」と「海外連携研究」における変更点は,応募書類の「引き戻し」が可能になったことがある.これは研究計画調書の提出(送信)期限(応募締め切り日時)より前であれば,いちど日本学術振興会に提出(送信)した研究計画調書(応募書類)を引き戻し,訂正や修正を行って再提出ができるということである.日本学術振興会への提出(送信)が,締め切りよりも早い研究機関の応募者が活用できると思う.「引き戻し」は研究者個人ではなく,研究機関の担当者によって行う.

 「研究活動スタート支援」や「海外連携研究」に応募する方は,今回の審査方法の変更に対応して,ぜひよい申請書を作成してほしい.

参考情報

これまでの速報

児島 将康

(久留米大学客員教授,ジーラント株式会社代表取締役)

書籍「科研費獲得の方法とコツ」「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」著者.毎年の科研費公募シーズン前後に20件近くの科研費セミナーで講演し,理系・文系を問わず申請書の添削指導を行っている.令和6年4月より研究者を支援するジーラント株式会社(https://g-rant.org/)を立ち上げ,活動している.

科研費に関する書籍・ウェビナーや制度の変更点など,科研費申請に役立つ情報を発信しております.
研究生活の役に立つ書籍なども少しご紹介しています.