レジデントノート:夜間外来の薬の使い分け〜患者さんの今夜を癒し明日へつなぐ、超具体的な処方例
レジデントノート 2018年6月号 Vol.20 No.4

夜間外来の薬の使い分け

患者さんの今夜を癒し明日へつなぐ、超具体的な処方例

  • 薬師寺泰匡/編
  • 2018年05月10日発行
  • B5判
  • 138ページ
  • ISBN 978-4-7581-1608-4
  • 定価:2,200円(本体2,000円+税)
  • 在庫:あり
    PDF版:あり
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特集にあたって

特集にあたって

薬師寺泰匡
(岸和田徳洲会病院 救急科)

夜間外来 ほんまにこれでええんか?

初期臨床研修医であれば,おそらく誰もが経験する「夜間外来」.多くの病院で上級医による監督のもと,夜間外来診療に携わっていると思います.皆さんの不断の努力により,この国の夜間救急外来は支えられています.本当に尊いことだと思います.

ただ,こうした努力の一方で,日本全国どこの病院でもしっかりとエビデンスに則った標準治療がなされており,どこを受診しても同じ対応が受けられる,という状況にないのが日本の夜間外来の現状ではないでしょうか.おそらく,現在のところ夜間外来に特化した教科書は出回っていません.大学で夜間外来の対応について熱心に教育している大学もおそらくかなり少数派だと思います.日々先輩から後輩へと,伝統芸能のごとく診療方法が伝わっていきます.そんななか,日々やってくる患者さんの対応をしていると,ある疑問が湧いてきます.「ほんまに,これでええんか?」

みんな悩んだ夜間外来

私も研修医の頃,さまざまなシチュエーションで悩まされました.夜間外来は通常外来のようで救急外来のような,はざまの存在といえるかもしれません.状態が不安定な患者さんから,比較的安定した患者さん,日中に受診し損ねたという理由で夜間に来てしまう元気な人も紛れ込んでいるかもしれない,非常にバラエティ豊かな環境です.全身状態が安定していればしているほど,処方するときは薬効と副作用のバランスがかなりシビアになります.明らかに投薬が必要なシチュエーションもあるかもしれませんが,翌日まで安定していればいいのであれば,投薬しないという選択肢も考えたくなる状況です.目の前の患者さんに,薬が必要なのか,必要ないのか,投薬するとしたら何がいいのか,そこにエビデンスはあるのか,誰か教えてくれよと考えたものです.

悩みに答えてくれる人を

ここ10年で日本にはER医が増え,ER型救急(walk-inから重症の救急搬送まで全部受ける)を実践している施設も増えてきました.夜間外来を活躍の場とする人が増え,いかに適切な対応をするかということを考え続けるなかで,標準化が少しずつ進んできているのではないかと感じています.夜間外来を率先して統括し,教育にも携わろうという人が増えてきたことは本当に喜ばしいことです.

今回の特集では,実際に私も悩んだ夜間外来での薬の使い方について,研修医とともにERの最前線で活躍する諸先生を中心に,エビデンスとエクスペリエンスに基づいた具体的な方策を提示していただきました.目の前の患者さんに投薬が必要なのかどうなのかという判断基準を提示し,投薬が必要な場合の具体的な投薬方法を提示しております.日々の診療の参考にしていただければ幸いです.

ただし,エビデンスで人を殴るようなことをしないでください.「薬師寺先生たちがレジデントノートで言ってたからこれが正しいんだよ!」とか,「時代遅れな治療反対!」とか「ガラパゴス化した治療に絶望した!」といった態度で,上級医とのディスカッションをないがしろにしたり,患者さんとの対話をないがしろにしたりしないでください.根拠をもとに,議論を深めつつ,一人ひとりの患者さんと向き合って考えることが大切です.

夜間外来で活躍しよう

夜間いらっしゃる患者さんは,夜間いらっしゃるなりの理由がある人がほとんどです.皆さんもしんどいけど患者さんもしんどいのです.辛いときこそ,よい対応をされたら嬉しいものです.皆さんの悩みを解決し,そして患者さんの悩みも解決し,この特集がいろんな人の夜明けとなれば幸いです.

著者プロフィール

薬師寺泰匡 Hiromasa Yakushiji
岸和田徳洲会病院 救急科
若手救急医のNPO団体「EM Alliance」からER診療を広めるべく活動中.ブログ「@ER×ICU 救急医の日常」や,日経メディカルオンラインのコラム「だから救急はおもしろいんよ」を通して情報発信しています.救急診療のなかでも中毒と敗血症診療が好き.酒は好きだけど酔っ払いは嫌い.皆さんぜひ一緒に救急を志しましょう.救急はおもしろいですよ!

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夜間外来の薬の使い分け

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