「救急外来ドリル」掲載・2025年11月26日公開
めまいという訴えには多くの疾患の可能性があり,またそのなかには脳卒中や前失神など危険な疾患,症候を含んでいる可能性があります.そのため,どうしても頭部CTや採血など検査を優先しがちです.救急外来では常に除外すべき疾患を意識して対応する必要がありますが,検査が陰性であることを理由に否定できることは意外と少ないものです.そのため,頻度が高く病歴や身体所見で確定診断できる疾患をきちんと診断することがきわめて大切です.
BPPVの特徴は,持続時間の短いめまいであることが最大の特徴です.それでは,持続時間の確認のしかたはどのように行えばよいでしょうか?「めまいはどの程度続きますか?」という問いに対して,「安静にしていればすぐに治まります」とはなかなか返ってきません.BPPVの患者さんに話を聞くとよくわかりますが,安静にしていると治まる,しかし動くと再度症状が再燃する,これをくり返します.そのため,患者さんは「症状は持続している」と訴えることが少なくないのです.「安静にしていると治まるけれども,動くとまたはじまる,そんな感じですか?」など,BPPVらしさをキャッチする一工夫が必要です.BPPVは,“1回1回のめまいの持続時間が短い”,これがポイントなのです.
参考文献
1)「救急外来 ただいま診断中! 第2版」(坂本 壮/著),中外医学社,2024