診療所実習・研修をのぞいてみよう(企画:PCFMネット)

第6回 外来診療研修の実際

  • 雨森正記(医療法人社団 弓削メディカルクリニック/滋賀家庭医療学センター)

診療所実習で外来診療を経験しよう

最近の医学教育では,見学だけではなく実際の医療現場に参加して研修する参加型実習を行うようになってきました.しかし,参加型実習が増えたとは言え,医学生が外来で責任をもって診療することはありません.また,初期研修医も救急の研修をすることはあっても,通常の外来診療の研修をすることはほとんどありません.だからこそ診療所の実習で外来診療の研修を経験してもらいたいと思っています.

診療所での外来の特徴

実際に診療所にやって来る外来の患者さんへの対応は救急の場とは違います.外来では来た患者さんのその後のケアまで責任をもって行わなければいけないのです.また患者さんのもってきた問題だけでなく,その方のhealth maintenanceや周囲の家族のことも考えての継続診療を心がけなくてはいけません.そういった診療はいろいろな科をローテーションしただけでは学習することは不可能です.

外来研修の実際

最初は見学を行ってもらいますが,何回か見学をした後に,指導医から許可の出た研修生は参加型の実習を行ってもらいます.以下に当院で行っている外来研修の流れを説明します.

  • ① 挨拶と自己紹介
    指導医から適当と思われる患者さんを紹介してもらい,診療をはじめる前に自己紹介を行ってもらいます.
  • ② 医療面接・身体診察
    患者さんの医療面接・身体診察を研修生のみで行ってもらいます.制限時間を15分程度に設定し,制限時間を過ぎたら途中であってもいったん診療を中断し診察室から出てきてもらいます.
  • ③ 指導医にプレゼンテーション
    医療面接・身体診察が終了したら,患者さんには待合室などで待っていてもらい,研修生には指導医に対しSOAPの順にプレゼンテーションを行ってもらいます.医学生の場合はAまで,初期研修医はPまで説明できることを目標にしています.
  • ④ 指導医とともに診察
    再び患者さんを診察室に呼び入れ,今度は指導医とともに診察を行い,患者さんに診断・治療について説明を行います.医学生の場合は指導医が説明し,初期研修医の場合は研修医が説明し指導医が適宜付け加えます.
  • ⑤ 診療録の記載
    指導医と議論した内容を診療録に記載し,記載終了後に指導医のチェックを受けます.1人の外来患者さんにつき一連の流れは,医学生の場合は60分,初期研修医は30分を目標に考えています.
  • レジデントデイでの振り返りの様子.

    レジデントデイでの振り返りの様子.

  • ⑥ 振り返り
    診療終了後に指導医とともに外来診療の研修の振り返りを行います.できたこと,できなかったこと,これからの課題などを個々の症例について具体的に振り返ります.

外来の研修方法は医学生,初期研修医,専攻医とも基本は同じであり到達目標が異なっているだけです.外来診療は日本の医学教育のなかで最もおろそかにされてきた分野です.health promotionを意識した家庭医療に特徴的な外来診療を経験されることは,今後の自分の診療を広げるために必ず役立ちますので,希望される方は当クリニックまでご連絡ください.

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