総合診療はおもしろい!

若手医師のための家庭医療学冬期セミナー
杉谷真季(独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター 総合内科)

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例年2〜3月に,プライマリ・ケアに従事する熱い若手が全国から集まるイベントがある.若手医師のための家庭医療学冬期セミナーというセミナーで,2015年で第10回目の節目を迎えた.今回はこのセミナーについて紹介する.

毎年多くの参加者で白熱するこのセミナーは,若手医師が中心となって企画・運営を行っている.主に卒後10年目くらいまでの若手医師を対象に企画され,全体講演,シンポジウム,選りすぐりの選択制ワークショップ(以下,WS)などで構成されている.

第10回は,2015年2月21〜22日の2日間,東京大学本郷キャンパスで開催され,参加総数318名と例年を上回る多くの参加者が集まった.

やる気が引き出される全体講演!

第10回冬期セミナーの集合写真

全体講演では,まず日本プライマリ・ケア連合学会の理事長である丸山泉先生より,トマ・ピケティや宇沢弘文といった経済学者の視点から,医療と教育に限っては国民の幸福を保証するために経済モデルよりも理念と対象者のニーズを優先させるべきであろう,と若手医師に熱いメッセージが送られた.理事長が若手医師に求めていることが伝わってくる説得力のある内容で,参加者の心に響き,やる気が引き出される講演であった.

次に,日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師部会の第5期代表である吉田伸先生より若手医師部会の活動理念と歴史,第5期の活動内容,質的・量的な振り返りと今後への提言をご講演いただいた.次の10年に向けてさらに活動を広げる若手医師部会の紹介は,参加者の興味を惹き,われわれにとって非常に貴重な時間となった.

プライマリ・ケアに関する今日から使える知識をGet!

表 第10回のWSのキーワード

第10回は全24WSのなかから3つを選択して受講することができた.各WSのキーワードを並べると表のようになる.

当日行われたWSは,多岐にわたる医学的知識や技術,学術的なもの,指導医に必要な教育スキルを学ぶものなど,よりどりみどりのラインナップで,参加者が求めるテーマがおのおのに凝縮されていた.

同じ志をもった若手医師との交流!

このセミナーは全国から若手医師が集まるため,全国に仲間をつくるまたとないチャンスである.人と人との繋がりはとても重要で,診療の場面においてもプライマリ・ケア活動をしていくうえでも大切な糧となる.

冬期セミナーは,総合的な医療をめざす若手医師が同じ方向を向いて共に育っていくための重要な場である.第11回の予定はまだ未定であるが,詳細は日本プライマリ・ケア連合学会ホームページに掲載されるので,ぜひ楽しみにしていてほしい.

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