総合診療はおもしろい!

乳幼児健診マスターへの道
玉井友里子(湯郷ファミリークリニック)

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乳幼児健診ってなんとなく苦手意識ありませんか? 発達に幅があるし,正常と異常の境目はあいまいだし,親御さんはたくさん質問をもってくるし,それにははっきりした答えがなかったりするし….私もはじめての頃は指導医が後ろにいながらも大量の本を抱えてドキドキしながら挑んでいました.今回はそんな初期の頃の体験と現在を紹介し,乳幼児健診の楽しさをお伝えします.

この子は何歳?

「この子は何歳なのか…」まず「年齢相応」がわかりませんでした.子どもの発達って幅があるので,本を読んでもいまいち頭に入ってこない.わかるようになったのは集団検診のおかげです.集団で子どもを見ていると「〇才はこれができるんだなあ」と目が肥えてきて,ようやく知らない子でも「〇才ですか?」と自信をもって聞けるようになりました.

教科書に載っていない質問

ドキドキあるある.「散歩はいつからしたらいいですか?」 はじめは,そんな教科書に載っていない質問がこわくて仕方ありませんでした.おどおど答えては「子育ての経験のない私が答えていいのかな」という気持ちでいっぱいでした.今は「ほかの人にはどう聞いていますか?」「どうしようと思っていますか?」と質問してみたり,経験豊富な看護師さんや保健師さんに聞いたりして「一緒に考える」ようにしています.「ネットでは」「義母は」と前置きがつきますが,最後には「私は…と思うんですけど」という答えが返ってきます.だいたい親御さんのなかに答えはあって「それでいいんですよ」と背中を押すだけでいいように感じています.

いいところ探し

医者は病気を探しがち.もちろん発達・発育のチェックをするけれど,大きな問題がなければ,できないことではなく,できていることに注目しなさい,と指導医に教えられました.歩きはじめが遅くてもハイハイが上手なら「ハイハイが上手ですね」と褒めて,夜あまり寝ない子なら「お母さん夜もたくさん起きてがんばってるんですね」とお母さんのがんばりを認めます.不安でいっぱいだった親御さんが,最後は笑顔で帰っていけば,こちらもうれしくなります.普段の救急外来とは違う「いいところ探し」モードにニコッと切り替えです.

こうして指導医だけでなく親御さんや子どもからいろんなことを学び,今は「どんな子がくるかなあ」というワクワクドキドキに変わってきました.今でも悩みながらですが,乳幼児健診の楽しさ,少しでも伝わればうれしいです.

おすすめの本

  1. 「乳幼児健診マニュアル 第5版」(福岡地区小児科医会 乳幼児保健委員会/編),医学書院,2015
      ↑健診前に必ず見返しています.必携!
  2. 「周産期相談318 お母さんへの回答マニュアル 第2版」(周産期医学編集委員会/編),東京医学社,2009
      ↑教科書に載っていないような質問への回答例が載っています.他にはない唯一の本.
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