総合診療はおもしろい!

WONCA APRC 2017 in パタヤ 体験記
坂井雄貴(亀田ファミリークリニック館山 家庭医診療科)

2017年11月1日から4日にかけて,タイのパタヤにて世界家庭医療機構(World Organization of Family Doctors:WONCA)アジア太平洋地域学術大会(Asia Pacific Regional Conference:APRC)が開催されました.

プライマリ・ケアと家庭医療が起こすイノベーション

本会のテーマは“FAMILY MEDICINE INNOVATION”であり,開会式のタイ保健省による講演は,まさにプライマリ・ケアの革新を感じさせるものでした.タイでは専門医療に対しプライマリ・ケアを担う医療者が少なく,医療の地域格差や医療費の高騰などのさまざまな問題が生じています.家庭医を中心とした多職種チームがプライマリ・ケアを提供することで救急受診数・入院数・医療費が減少したことから,2017年にはタイ王国憲法にプライマリ・ケアにおける家庭医の重要性が明記されました.さらに今後10年間で家庭医を中心としたチームを現在の48チームから6,500チームに増やすとの宣言がありました.日本でも総合診療医をいかに増やしていくかが課題となっています.タイの国をあげたプライマリ・ケアへの転換には多くの賞賛の声が上がっていました.

若手医師が紡ぐWONCAの今と未来

世界の若手医師とワールドカフェで交流しました!(筆者 後列左から3番目)

本会に先立って開催されたプレカンファレンスは,アジア太平洋地域の若手医師活動であるThe Rajakumar Movementが主催しており,100名近くのタイの専攻医が参加するなど勢いを感じさせるものでした.前WONCA会長のマイケル・キッド教授からは“Family doctor, you are the specialist”という力強いメッセージがあり,未来を担う若手医師に家庭医としてのアイデンティティを抱かせるものでした.現WONCA会長のアマンダ・ハウ教授からも若手医師活動に対して激励の言葉があり,WONCAにおける今後の若手医師の活躍の重要性を実感しました.ワークショップでは世界の若手医師とワールドカフェを行い,今後若手医師活動をどう盛り上げていくか,医学生や初期研修医にいかに家庭医療・総合診療に興味をもってもらうかなどをそれぞれの国の状況を共有しながら話し合いました.

若手医師にWONCA APRCを勧める理由

アジアを中心とした家庭医が集まる本会はアットホームな雰囲気があり,若手医師のチャレンジを歓迎しています.実際に日本からも医学生や初期研修医が多く参加し,ポスター発表を行ったり,海外の家庭医と交流したりと刺激を受けていました.医学生や初期研修医には,総合診療というキャリアに対してロールモデルが少ない,イメージをもちにくいなどの悩みが多くあります.私自身もその一人でしたが,世界の若手家庭医との交流を通して,彼らが私たちと同じ悩みを抱え,同じ志のもとプライマリ・ケアを支えていることを知り,家庭医というキャリアを歩む自信と誇りを感じることができました.

2018年にはソウルでWONCA世界大会が,2019年には日本でWONCA APRCが開催されます.若手医師の皆さんもぜひWONCAに参加し,総合診療を盛り上げていきましょう!

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