総合診療はおもしろい!

診療所家庭医の1日の様子
堀越 健(医療法人社団家族の森 多摩ファミリークリニック)

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はじめまして,医療法人社団家族の森 多摩ファミリークリニックの堀越 健と申します.私は日本プライマリ・ケア連合学会認定の「家庭医療専門医」です.読者の皆さん,「家庭医」・「総合診療医」に出会ったことがありますか? 本記事の目標は『私のよくある1日の様子を伝え,少しだけ「家庭医」のイメージをもってもらう』です!

【朝】

出勤するとまずコアメンバーで組織運営についてミーティングを開きます.多摩ファミリークリニックは常勤医師3人のグループ診療を行っています.私は外来部門リーダーとして,看護師や事務スタッフと一緒に自組織の質向上に向けて取り組み,人員不足を提言したり業務の評価を行ったりしています.

筆者の診療所のスタッフ.前列の左から2番目が筆者.

【午前】

訪問診療に出かけます.病気や独居高齢者など自立した通院が難しい方や癌のターミナルで状態の悪い方などが対象で,こちらから定期的に訪問を行います.この日は午前中に7件のお宅を訪問.車で1人で向かいます.医者が診察するだけでは生活が成り立ちませんので他の職種との連携が非常に大切です.ケアマネ・訪問看護・リハビリ・薬剤師などへ適宜連絡し情報共有します.うまく連携をとるためには,介護や福祉制度の最低限の知識が必要不可欠です.

【昼】

休憩を挟んで,今度は院内で乳幼児健診と予防接種の専用時間です.さっきまで癌の終末期の診療を行っていたのですが,今度は生後2カ月のはじめての予防接種や,生まれたころから知っているお子さんの学校入学前の健診も行います.実は午前に訪問した患者さんのひ孫も来ていました.

【午後】

ここから診療終了時間までは外来です.今日は予約が15人で,認知症の高齢者,高血圧,糖尿病,気管支喘息,小児の喘息・アトピー・食物アレルギー,鉄欠乏性貧血の女性,発熱4日目の小児のフォロー,などでした.予約以外にも患者さんは来ますので,さらにさまざまな健康相談にのります.当院は成人と小児が半々くらいの割合です.

このように,多種多様な幅広い領域の健康問題を専門・非専門で区別せず,自組織や地域活動までひっくるめて,まるごと引き受けることができるのが私たちのもち味です.さらに,所属する組織や地域によって多種多様な働き方・かかわり方ができるのも総合診療医の魅力です.もし診療所の家庭医に興味があれば,下記のサイトから自分の近くの診療所や家庭医療専門医に連絡をとってみてください.

PCFMネット:プライマリケア・家庭医療の見学実習・研修を受け入れる診療所医師のネットワーク
日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医制度 専門医一覧:学会のホームページで公開されている家庭医療専門医の一覧.地域ごとに見られるようになっている

はじめから終わりまで,それぞれの経過に合った輸液ができる!

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