編集部レポート

平成30年度 全国栄養士大会

開催日:2018年7月28日(土)・29日(日) 会場:パシフィコ横浜 会議センター

「全国栄養士大会」は,公益社団法人日本栄養士会(以下,日本栄養士会)が主催する大会であり,全国の管理栄養士・栄養士が一堂に会し,栄養に関する課題について議論し実践方法を共有することを目的に開催されている.今大会では,“栄養障害の二重負荷(Double burden of malnutrition)の解決を目指す”をテーマに30を超える講演が行われ,約1,700人の管理栄養士・栄養士が参加した.

“栄養障害の二重負荷”とは

平成30年度 全国栄養士大会 セミナー写真
市民公開講座の様子

戦後の栄養学は栄養失調の改善を目標に発展したが,現代は“メタボリックシンドローム(メタボ)”の概念に代表されるように過剰栄養が問題とされている.しかしながら,各年代の栄養状態を詳細に調査していくと,過剰栄養が問題となっているのは壮年期であり,若年女性や高齢者・傷病者においては低栄養が問題となっていることがわかっている.つまり,社会全体のなかで年代別に過剰栄養と低栄養が混在している一方,個人の人生のなかでも過剰栄養と低栄養が混在している.これが“栄養障害の二重負荷”とよばれる問題であり,現在,日本栄養士会がもっとも力を入れているテーマである.

今大会の鼎談「栄養障害の二重負荷の解決をめざす」では,まずはじめに中村丁次先生(神奈川県立保健福祉大学学長・日本栄養士会会長),小松龍史先生(前 日本栄養士会会長),阿部圭一先生(国立健康・栄養研究所理事兼所長)が,それぞれの立場で講演をされた.中村先生の講演では,健康寿命を延伸するために,疾病予防のメタボ対策から介護予防のフレイル対策へのギアチェンジが高齢者において必要であることが提示された.それを受け,小松先生からは成人期の肥満治療における急激な減量が除脂肪体重(筋肉や骨,内臓などの重量)の減少を引き起こし,高齢期のフレイルにつながる危険性が示された.また阿部先生からは,“痩せていると健康”という常識から脱却することと,メタボ対策からフレイル対策への切り替えのタイミングにおける個別栄養指導の重要性が解説された.これまでメタボ対策がメインであった国民の栄養対策において,大きな転換期が訪れていることが感じられる鼎談であった.

日本栄養士会の取り組み

平成30年度 全国栄養士大会 セミナー写真
栄養情報サイト「NU+」のトップ画面

日本栄養士会では,栄養に関するさまざまな情報の発信を行っている.たとえば,栄養情報サイト「NU+(ニュータス)」.栄養関連の記事はインターネット上にあふれているが,ここでは管理栄養士・栄養士の監修のもと丁寧に解説されているため,患者さん・ご家族へも安心して紹介できる.現在は特に妊娠・授乳期や子どもの食事の記事が充実しており,食物アレルギーの予防・対策において医師の方々にも活用いただけるサイトである.

また,日本栄養士会では国民がより栄養に親しみをもつきっかけとなるように,8月4日を栄養の日,8月1〜7日を栄養週間と定めている(栄養の日は“エイト”と“よん”をあわせて“えいよう”と読ませるゴロが由来).2018年は「栄養ワンダー」とよばれるイベントを9月7日まで日本各地で開催し,料理教室や栄養講座,食品の試食を通じて,管理栄養士・栄養士とふれあい,質問できる機会を提供していた.また,全国栄養士大会でも糖尿病の重症化予防をテーマに市民公開講座を開催し,広く情報提供を行っていた.これらのイベントは食への関心を高めてほしい患者さんにおすすめできるものであるため,日々の診療にもご活用いただけるのではないかと思う.今後の日本栄養士会の活動にもぜひ注目してほしい.

(編集部 関家麻奈未)

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