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最新号(6月20日発行)
2007年7-8月号 (Vol.7 No.4) 定価 2,625円(税込)
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科学する物語・空想する科学瀬名秀明
第4回 あなたに真夏の細胞のひかりを伝える【2025年,渋谷】細い木の格子窓を通り抜けて,長い陽射しが部屋に入り込んでいる.少し毛羽立った畳,室内に浮かぶ小さな埃がわかる.そこにカメラを向けている良一の手の温かさも. 鮎美は画面を指先で撫でる.鮎美は生命科学者になりたいと思っていた.実習のとき顕微鏡で細胞を見て,丸く光っているその姿がとてもきれいだったのだ.何度も写真に撮ろうとしたけれど良一のようにはうまくいかない.あの感覚を伝えたいのにできなかった. ★☆★☆★☆(中略) ここ数年,質感(クオリア)という言葉は流行語になりすぎて,逆に皆を思考停止にさせてしまったきらいがある.質感の脳科学にはノーベル賞100個分が詰まっているなどと語る人も出てその難しさだけが強調されすぎたが,ここへきて私たちの世界観を一変させるような論文が出た.NTTコミュニケーション科学基礎研究所の本吉勇氏によるマサチューセッツ工科大学との共同研究で,私たち人間が物体を見たときに感じ取る光沢や明るさなど表面の質感は,通常思われていたよりずっと単純な光学現象,すなわち輝度情報のパターンで知覚されているというのである. ※これまでの掲載内容はこちらをご覧下さい |
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