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T細胞老化と炎症のつながり

The linkage of T cell aging and inflammation
仲島由佳,茶本健司
Yuka Nakajima1)/Kenji Chamoto2)3):Department of Immunology, Institute of Biomedical Research and Innovation(IBRI),Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe(FBRI)1)/Department of Immuno-Oncology PDT, Kyoto University Graduate School of Medicine2)/Department of Immunology and Genomic Medicine, Center for Cancer Immunotherapy and Immunobiology, Kyoto University Graduate School of Medicine3)(神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター免疫機構研究部1)/京都大学大学院医学研究科がん免疫PDT研究講座2)/京都大学大学院医学研究科がん免疫総合研究センター免疫ゲノム講座3)
10.18958/7381-00001-0001086-00

免疫系はがん細胞や老化細胞などの異物を排除することで個体の健康維持に貢献している.しかしながら,加齢に伴い免疫機能は低下する.免疫系のなかでもT細胞は強く加齢の影響を受け,機能低下につながるさまざまな変化が引き起こされる(T細胞老化).老化細胞が産生する炎症誘導性因子はT細胞老化を亢進させるため,さらなる老化細胞の蓄積と炎症の慢性化という悪循環に入り込み,個体老化を加速させる.T細胞老化に関するメカニズムには不明点が多いが,近年,全身性慢性炎症とのつながりの一端が明らかになってきた.本稿では,T細胞老化に特徴的な変化を中心に最近の研究を紹介しながらinflammagingとのつながりについて概説する.

T細胞老化,恒常性増殖,炎症性サイトカイン,不完全分化,TCR

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