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ブタゲノム編集―異種移植への応用

Genome editing of pigs paving a way for xenotransplantation
花園 豊
Yutaka Hanazono:Jichi Medical University Swine Center for Biomedical Research(自治医科大学ピッグセンター)
10.18958/7431-00001-0001384-00

移植ドナーが著しく不足するなか,ブタをドナーとして利用する異種移植が注目されている.2023年10月のNature誌によると,ハーバード大学とeGenesis社はCRISPR-Cas9ゲノム編集によって69個もの遺伝子を編集したブタの腎臓をカニクイザルに移植したところ2年に及ぶ生存を確認したという.今後,わが国でも国民の間からアメリカのブタを使って研究や実用化を進めてほしいという声は上がってくるだろう.しかし,そもそもわが国の大学には医療用ブタを生産可能な施設がまだない.わが国では将来の異種移植実現に向けた体制作りからはじめなくてはいけない.本稿では,異種移植研究の現状を軸に,ブタの遺伝子改変・ゲノム編集研究,ならびに前述の最新報告の背景・意義を紹介する.

異種移植,DAFブタ,3KOブタ,ブタ内因性レトロウイルス,DPFブタ

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