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老化とがん免疫

Aging and cancer immunity
北岡功次,茶本健司
Koji Kitaoka1)/Kenji Chamoto1)2):京都大学大学院医学研究科附属がん免疫総合研究センター免疫ゲノム医学講座1)/京都大学大学院医学研究科がん免疫PDT研究講座2)
10.18958/7657-00001-0001828-00

加齢に伴う骨髄老化が免疫抑制性の骨髄細胞を増加させ,胸腺の萎縮がナイーブT細胞の新生を低下させる.加齢による胸腺の萎縮に伴い,ナイーブT細胞の恒常性維持増殖が誘導されることで,メモリー様T細胞へと分化し,TCRレパトアに偏りが生じる.さらに,加齢に伴いTCRシグナル伝達を調節する分子の発現が変化し,T細胞の活性化が抑制されている可能性がある.がん微小環境においては,SASP因子による炎症反応が,免疫抑制性の微小環境を形成する.さらに加齢に伴いT細胞のエネルギー代謝不全が報告されている.このように複数の要因によって免疫老化は引き起こされ,高齢者におけるがんの進展に寄与する.

骨髄老化,胸腺の萎縮,恒常性維持増殖,炎症反応,エネルギー代謝

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