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胎盤由来エクサカインによる養育行動の涵養機構

Placenta-derived exerkine cultivates maternal behavior
10.18958/7833-00001-0006191-00
楠山譲二
Joji Kusuyama:東京科学大学大学院医歯学総合研究科生体情報継承学分野

妊娠期のみに母体に形成される胎盤は,さまざまな生理活性物質(プラセントカイン)を分泌する.われわれは妊娠中の運動が子の糖代謝を向上させるメカニズムを解明するなかで,胎盤が運動応答性臓器であるという着想を得た.胎盤由来エクサカインであるSOD3は胎仔肝臓のエピゲノム変化を誘導することで糖代謝遺伝子発現を向上させる機能をもつ.SOD3は臍帯血と母体血の両方に分泌されるが,妊娠中の母親におけるSOD3の役割は不明であった.本稿ではSOD3が母親の養育行動に影響を与える分子機構をテーマに,妊娠中のエクサカインによる臓器間ネットワークの可能性を紹介する.

運動,妊娠,SOD3,プラセントカイン,エピジェネティクス

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