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【スマホで読める実験医学】多様な人の集まる地で,多様な生物を研究して
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香港科技大学を知ったのは,博士課程2年だった2022年の秋,もともと京都大学に所属されていた潮雅之博士が助理教授(中国のアカデミアポスト.日本の助教に近い)として香港に異動することをSNSで知ったときだ.潮さんとは2021年3月,日本生態学会大会の企画「モアイ」で出会った.この「モアイ」は,イースター島にあるミステリアスな像,のことではなく,沖縄に伝わる「模合(もあい)」という助け合いの習慣を由来とする.その企画は,学生やポスドクが,普段はなかなか話すことができない先輩研究者にメンターとなってもらい,研究やキャリアについて相談できるというものだった.私は当時修士2年で,土に棲む微生物の研究をしており,野外環境を対象にした分子生物学的手法に詳しい潮さんとの議論によって,貴重な学びを得られた.そして,潮さんが当時研究していたのが「非線形時系列解析」という統計解析手法の生態学での応用についてだった.いつか自分もこんな研究をしてみたい.学会後も,そんなやんわりとした希望を抱きながら博士課程に進み研究に励んでいた.潮さんが香港に行ったのは,それから1年半が過ぎ,私が将来について考えはじめていた頃だった.
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