実験医学:疾患に対抗するオートファジー〜感染防御,免疫制御の新規メカニズムから糖尿病,パーキンソン病への関与まで
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実験医学 2009年11月号 Vol.27 No.18

疾患に対抗するオートファジー

感染防御,免疫制御の新規メカニズムから糖尿病,パーキンソン病への関与まで

  • 吉森 保/企画
  • 定価 1,800円+税
  • 2009年10月発行
  • B5判
  • 143ページ
  • ISBN 978-4-7581-0053-3
  • 販売状況: 注文可能(在庫なし,電子版あり)
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大規模タンパク質分解系「オートファジー」.その新規因子の発見と機能解析からみえてきたオートファジーの分子機構と疾患への関与について,まさに分野の中心を担う先生方に基礎から詳しくご解説いただく1冊です.

《企画者のことば》

ギリシャ語で自分を食べるという意味のオートファジー(Autophagy)は,酵母からヒトに至る真核生物のほとんどすべての細胞に備えられた細胞内大規模分解・リサイクルシステムであり,膜構造であるオートファゴソームにより実行される.永らく不明であったその分子基盤の解明が近年急速に進むと同時に,予想外の生理機能が次々と発見され,生命科学における最もホットな分野の1つとなっている.本特集では,オートファジーの分子機構および疾患とのかかわりについて,研究の最前線を紹介する.

目次

特集

感染防御,免疫制御の新規メカニズムから糖尿病,パーキンソン病への関与まで
疾患に対抗するオートファジー
企画/吉森 保
概論:概論〜オートファジー:長きまどろみからの覚醒【吉森 保】
ギリシャ語で自分を食べるという意味のオートファジー(Autophagy)は,酵母からヒトに至る真核生物のほとんどすべての細胞に備えられた細胞内大規模分解・リサイクルシステムであり,膜構造であるオートファゴソームにより実行される.永らく不明であったその分子基盤の解明が近年急速に進むと同時に,予想外の生理機能が次々と発見され,生命科学における最もホットな分野の1つとなっている.本特集では,オートファジーの分子機構および疾患とのかかわりについて,研究の最前線を紹介する.
出芽酵母オートファジー因子の機能【山本 林/大隅良典】
オートファジーは真核生物が普遍的に備える大規模タンパク質分解系で,「二重膜構造の新規構築」を伴うダイナミックな膜動態から成り立っている.飢餓を生き抜くための細胞内小器官の新生ともいえるこの現象はどのような役者達によって支えられているのか.本稿では出芽酵母におけるオートファジーの分子機構について,これまでの知見を概説するとともに未解決の問題についても議論したいと思う.
オートファジーの駆動・制御機構の進化と疾患とのかかわり【松永耕一/藤田尚信/吉森 保】
細胞の自己成分大規模分解・リサイクリングシステムであるオートファジーのコア分子機構は,酵母からヒトに至るまでよく保存されている.しかし高等多細胞生物の解析から,基本となる酵母との差異も徐々に見つかりつつある.進化の過程でオートファジーが多機能化し,特に癌や感染症,神経変性疾患などから細胞を守る役割を担うようになったことで,駆動・制御機構が変化し複雑になっているものと思われる.ここでは酵母と哺乳類のオートファジー分子機構の違いについて,われわれが見出した事例をいくつか紹介し議論したい.
哺乳類オートファジーの制御と生理機能【板倉英祐/水島 昇】
細胞内大規模分解系であるオートファジーは,主に栄養飢餓により誘導される.これは,非選択的に大量のタンパク質を分解することで,飢餓時に必要なアミノ酸を確保するのに必要な経路である.しかし,近年の哺乳類オートファジーの研究から,オートファジーは細胞質内タンパク質クリアランス,初期胚発生,癌抑制,抗加齢,感染・免疫制御などのさまざまな生理的役割をもつことが解明されてきた.本稿ではオートファジーの動的な制御機構,そしてその生理的役割について概説する.
オートファジーとパーキンソン病【松田憲之/田中啓二】
パーキンソン病は21世紀の高齢化社会において病態の理解と根源的な治療法の開発が最も求められている疾患の1つである.その発症原因については諸説あるが,具体的なメカニズムは完全にはわかっていない.最近,遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子産物Parkinが膜電位を失ったミトコンドリアをオートファジーに導くことが報告され,ミトコンドリア特異的なオートファジー(マイトファジー)とパーキンソン病との関連が急激に注目されてきている.本総説では“オートファジー(特にマイトファジー)とパーキンソン病”について,今までの知見を中心に紹介していきたい.
膵β細胞とオートファジー【綿田裕孝/内田豊義/藤谷与士夫】
2型糖尿病は血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンの分泌不全とインスリン抵抗性があいまって発症する疾患である.西洋風ライフスタイルを受容した結果,世の中には過栄養状態が蔓延している.過栄養状態はインスリン抵抗性を誘導するが,膵β細胞機能が正常であれば,血糖値は上昇しない.血糖値が増加し糖尿病を発症する人の膵β細胞には2つの重要な欠陥がある.1つはグルコース応答性インスリン分泌機構の障害,もう1つは,インスリン抵抗性状態に応答した膵β細胞容積増加機構の破綻である.最近,これらの致命的な欠陥が膵β細胞におけるオートファジー不全で起こりうることが明らかになってきた.本稿では,2型糖尿病の膵β細胞機能不全とオートファジー不全との関係について概説する.
オートファジーと細菌感染【Ju Huang/Cheryl L. Birmingham/John. H. Brumell】
オートファジーは,細菌,ウイルス,寄生虫などさまざまな病原体の侵入から細胞を防御する自然免疫機構としても機能しており,細胞内細菌を捕らえて殺し,宿主細胞の細胞質における集落形成を阻止する能力をもつ.しかしある種の細菌はこのような抗菌オートファジーから逃れることができ,さらにはオートファジーを自己の生存のために利用する菌さえ存在する.ヒトに胃腸炎を引き起こす病原細菌であるサルモネラは,宿主細胞内で一部がオートファジーによって捕獲され,その結果菌の増殖が抑制される.一方リステリア症の原因菌で免疫不全状態のヒトでは全身性疾患を惹起するリステリアは,感染初期に病原因子を用いてオートファジーから逃れ,後期にはオートファジー依存的にリステリア含有巨大ファゴソーム (SLAP)と名付けられた特殊な膜構造を形成し,その中に留まりゆっくり増殖する.一方,最近NADPH酸化酵素がつくる活性酸素種が,抗菌オートファジーの制御因子であることが判明した.また,抗菌オートファジーの障害が,炎症性腸疾患の発症機序にかかわる可能性がある.
オートファジーと免疫【齊藤達哉/審良静男】
タンパク質分解機構は免疫応答の制御に深くかかわっており,近年ではバルク分解機構であるオートファジーの役割に関して注目が集まっている.オートファジー関連因子であるAtg16L1は,その1塩基多型がクローン病の発症と強く相関することが報告されるなど,炎症制御との深いかかわりが指摘されており,さらに,Atg5やAtg7といったオートファジー関連因子もサイトカイン産生や抗原提示などさまざまな免疫応答において重要な役割を果たすことが明らかになっている.本稿では,オートファジーと免疫応答について解説したい

トピックス

カレントトピックス
シャペロン群を介したプロテアソーム19S調節因子の形成機構の解明【金子岳海/村田茂穂】
核内O-結合型糖修飾を介するレチノイン酸誘導性血球分化制御【藤木亮次/近西俊洋/橋場和華/加藤茂明】
マウスにおける始原生殖細胞形成シグナリングの解明と試験管内再構成【大日向康秀/斎藤通紀】
細菌エフェクターOspEはILKと結合し接着斑を安定化させ,感染細胞の剥離を抑制する【金 玟秀/笹川千尋】
News & Hot Paper Digest
小胞体を形づくるGTPaseと運動ニューロンの変性
眠れる森の幹細胞
細胞集団における周期的な転写変動を再現するシミュレーションモデル
統合失調症の遺伝学的解析の決定版
細胞免疫療法による多発性硬化症の治療ワクチン候補Tovaxin

連載

【新連載】Campus & Conference探訪記
Marine Biological Laboratory【蝦名 恵】
The Future of Cancer Genomics
第2回 進化を遂げる超高速シークエンス技術の可能性【Elaine R. Mardis】
Editor’s Report 第2回 超高速シークエンス技術を支える現実的なインフラストラクチャー【実験医学編集部】
【最終回】科研費獲得の方法とコツ
第5回 ちょっと待って,申請の前に【児島将康】
バイオ研究者がちゃんと知っておきたい化学
第2回 OH基が酸になるとき【齋藤勝裕】
クローズアップ実験法
ウエスタンブロット【末次志郎】
モデル生物の歴史と展望
第7回 酵母はどのようにしてモデル生物になったか【下田 親】
ラボレポート-独立編-
国際色豊かな環境で—The Wolfson Institute for Biomedical Research【安川武宏】

関連情報

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  • 【本書名】実験医学:疾患に対抗するオートファジー〜感染防御,免疫制御の新規メカニズムから糖尿病,パーキンソン病への関与まで
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