実験医学増刊 Vol.28 No.20

分子から個体へと深化する脂質生物学

リピドミクスや脂質イメージングによる局在・機能解析から生体調節系の生理,そして,がん・炎症など疾患の分子機構の理解へ

  • 佐々木雄彦,横溝岳彦,竹縄忠臣/編
  • 2010年12月06日発行
  • B5判
  • 237ページ
  • ISBN 978-4-7581-0311-4
  • 定価:5,940円(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
    PDF版:あり
電子書籍を購入する
実験医学誌 定期購読のご案内
PDFダウンロード

がん・炎症などの疾患や各種生体調節機構との関連が解明され,大注目の脂質研究の総集編.多くの分野の研究者に読んでもらいたい1冊に仕上がっています!リピドミクスや脂質イメージングなど話題の技術も多数紹介!

目次

第1章 脂質の多様性と偏在性~生物学的意義と解析技術

1. 微量脂質成分測定のための質量分析技術の現状【田口 良/中西広樹】

  • リピドミクスの分析手法
  • 酸性リン脂質の測定手法と応用
  • 酸化リン脂質の測定手法と応用

2. 質量顕微鏡法による脂質局在解析【由木 大/杉浦悠毅/財満信宏/瀬藤光利】

  • 質量顕微鏡法とは
  • 脂質解析の方法論
  • 脂質局在解析
  • 医学への応用

3. 生体膜リン脂質多様化メカニズム【進藤英雄/菱川大介/原山武士/清水孝雄】

  • グリセロリン脂質生合成経路
  • AGPAT ファミリー
  • MBOAT ファミリー
  • AGPATモチーフとMBOAT モチーフ
  • 他のリゾリン脂質アシル転移酵素
  • 酵素命名について

4. 生体膜糖脂質の新たな生理機能─脂質分子のグルコース修飾の重要性【平林義雄/香山綾子/長塚靖子】

  • スフィンゴ糖脂質をめぐる新しい話題
  • 新規生理活性グルコース化脂質の発見

5. ナノメートルレベルでの膜脂質局在解析【藤田秋一/藤本豊士】

  • QF-FRL 法の概略
  • QF-FRL 法でわかったこと
  • QF-FRL 法と他の方法の比較
  • QF-FRL 法の今後の展開と課題

6. 生細胞における局所的ホスホイノシタイドの可視化と操作【Tamas Balla(翻訳:山崎正和)】

  • 生細胞における脂質変化を検出するための可視化ツール
  • 細胞内PIs の局所的操作

7. 細胞の自発運動におけるPI(3,4,5)P3 代謝系の自己組織化【松岡里実/佐藤雅之/上田昌宏】

  • 細胞の前後極性形成におけるP(I 3,4,5)P3シグナル伝達経路
  • P(I 3,4,5)P3代謝酵素による自発的シグナル形成
  • 細胞運動の自発性の源にある分子反応の確率性
  • 自己組織化による分子の確率性の制御

8. 脂質二重層の形状を制御する分子機構【伊藤俊樹】

  • F-BAR ドメインによる膜変形
  • Caveolae における細胞膜曲面の形成機構
  • C2domain による膜変形と膜融合
  • リン脂質のアシル基修飾による膜変形

9. オートファゴソーム形成にかかわるリン脂質【板倉英祐/水島 昇】

  • オートファゴソーム膜形成におけるホスファチジルイノシトール3- リン酸の役割
  • ホスファチジルエタノールアミンとオートファジー

10. GPI 付加によるタンパク質選別輸送・局在の調節【藤田盛久/木下タロウ】

  • GPI アンカーのリモデリング
  • 小胞体からゴルジ体への選別輸送
  • トランスゴルジネットワーク(TGN)から細胞膜(アピカル膜)への選別輸送
  • エンドサイトーシス経路
  • 膜タンパク質の輸送制御
  • GPI アンカー型タンパク質の細胞膜上での挙動

11. リン脂質フリッパーゼによる「脂質場」の形成と細胞膜ダイナミクス【山本真寿/加藤詩子/梅田真郷】

  • リン脂質フリッパーゼについて
  • 出芽酵母の細胞極性形成におけるP4-ATPase の役割
  • 哺乳動物細胞の細胞運動制御における役割

第2章 細胞膜脂質代謝酵素~広範な生命現象への関与

1. 膜電位情報をイノシトールリン脂質シグナルへ変換する膜タンパク質VSP【岡村康司】

  • 電位センサーをもつホスファターゼ
  • VSP で電位変化により酵素活性が変わるしくみ
  • VSP の生理機能

2. ホスファチジルイノシトールの脂肪酸組成を規定する酵素群の同定【井上貴雄/新井洋由】

  • PI のsn -2 位にアラキドン酸を導入するアシル基転移酵素mboa-7 /LPIAT1 の同定
  • PIのsn -1 位にステアリン酸を導入するアシル基転移酵素acl-8,9,10 /ALCAT1 の同定

3. ホスホリパーゼA2 の生理的・病理的役割【村上 誠/佐藤弘泰/平林哲也/山本 圭/武富芳隆】

  • PLA2 と生殖
  • PLA2 と気道病態
  • PLA2 と皮膚疾患
  • PLA2 と動脈硬化・メタボリックシンドローム
  • iPLA2 ファミリーと疾患

4. 遺伝子改変マウスの表現型より示されるホスホリパーゼC の生理的役割【中村由和/深見希代子】

  • PLC アイソザイム欠損マウス皮膚にみられる表現型
  • PLC アイソザイム遺伝子改変マウスが示す造血および免疫系異常
  • PLC 欠損マウスにみられる受精異常

5. ホスホリパーゼD 研究の新展開─阻害剤とノックアウトマウスを用いた解析からの教訓【本宮綱記/佐藤隆信/長谷川 潤/船越祐司/金保安則】

  • PLD アイソザイムとその活性調節機構
  • 細胞レベルにおけるPLD の生理機能
  • PLD活性阻害剤の登場
  • PLD ノックアウトマウス

6. メタボリックシンドロームとリン脂質【植木浩二郎/門脇 孝】

  • インスリン作用とリン脂質を介したシグナル伝達
  • メタボリックシンドロームにおけるインスリン抵抗性のメカニズム
  • 肥満によるマクロファージの浸潤とリン脂質を介する制御
  • 高インスリン血症とメタボリックシンドローム
  • PI3K 関連シグナルと小胞体ストレスのクロストーク

7. ホスホイノシタイド3-キナーゼPI3Kα,PI3Kβ の生理的役割─その類似点と相違点について【Julie Guillermet-Guibert/Bart Vanhaesebroeck(翻訳:高須賀俊輔)】

  • p110α とp110β の活性化機構について
  • p110α,p110β に固有の情報伝達経路 ーin vivo の表現型から細胞機能まで
  • 個体発生時の血管形成におけるp110α,p110β アイソフォームの役割
  • 代謝におけるp110α,p110β アイソフォームの役割
  • p110βに特有の予期せぬ機能
  • がん細胞におけるp110α とp110β の役割 ーアイソフォーム特異的な阻害剤は有用か?

8. ホスホイノシタイドホスファターゼの異常と病態【佐々木純子/小藤智史/佐々木雄彦】

  • 3位ホスファターゼ
  • 4位ホスファターゼ
  • SAC ファミリーホスファターゼ
  • Synaptojannin
  • PLIP

9. PI3 キナーゼを標的とした癌治療─ PI3K 阻害剤開発の現状【矢守隆夫/孔 徳新】

  • PI3K とは:その分類と機能
  • PI3K と癌
  • PI3K 阻害剤の開発の現状

第3章 脂質メディエーターと受容体~脂質メディエーターは第三世代へ

1. オーファンGPCR の脂質リガンド同定戦略と課題【奥野利明/横溝岳彦】

  • 生理活性脂質受容体同定の歴史
  • オーファンGPCR のリガンド同定の現状
  • 生体試料を用いた脂質リガンドの同定例

2. ロイコトリエンの多様な疾患へのかかわり─受容体改変マウスの解析から【安田大恭/石井 聡】

  • LT 受容体の同定と研究の現況
  • LT 受容体の疾患へのかかわり

3. プロスタノイドによる免疫系・神経系制御【平田多佳子/古屋敷智之】

  • プロスタノイドによる免疫応答の調節と免疫病態への関与
  • 心理ストレスと記憶学習におけるPGE2 の役割

4. 脂質メディエーターと皮膚免疫・アレルギー疾患【椛島健治】

  • NSAID と皮膚疾患
  • 接触皮膚炎と脂質メディエーター
  • アトピー性皮膚炎とプロスタノイド
  • 蕁麻疹と脂質メディエーター
  • その他の皮膚疾患と脂質メディエーター

5. 炎症反応を制御する抗炎症性脂質メディエーター【有田 誠】

  • 脂肪酸代謝系と炎症の制御
  • 炎症の発生と収束
  • 脂肪酸由来の抗炎症性メディエーター
  • 疾患への適用

6. 内因性カンナビノイドによるシナプス伝達修飾【橋本谷祐輝/谷村あさみ/狩野方伸】

  • カンナビノイド受容体と内因性カンナビノイド
  • 内因性カンナビノイドによるシナプス伝達抑制
  • 内因性カンナビノイドの分解除去
  • 逆行性シグナルの分子実体
  • 内因性カンナビノイド系の生理的役割

7. 神経系におけるLPA シグナル伝達と医薬応用への可能性【藤井康行/Jerold Chun】

  • 中枢神経系発生におけるLPAシグナル伝達
  • 神経系病態生理におけるLPAシグナル伝達

8. リゾホスファチジン酸(LPA)/ オートタキシン(ATX)測定の臨床検査への応用【矢冨 裕/池田 均/中村和宏/増田亜希子/五十嵐浩二/青木淳賢】

  • 血中におけるLPA 産生機構
  • 血漿LPA,血清ATX の定量測定
  • 血清ATX 測定の臨床的意義

9. スフィンゴシン1- リン酸の心血管系および免疫系における役割【大日方 英/Timothy Hla】

  • スフィンゴシン1- リン酸の代謝経路
  • S1P 受容体のシグナル伝達経路
  • S1P の生理作用
書評・感想
  • 羊土社の増刊企画は、いつも研究のトレンドを反映していて、たいへん満足しています。

購入方法・送料について

本書は全国の羊土社取扱書店にてご購入いただけます.店頭にて見当たらない場合は,下記情報を書店にお伝え下さい.

  • 【本書名】実験医学増刊:分子から個体へと深化する脂質生物学〜リピドミクスや脂質イメージングによる局在・機能解析から生体調節系の生理,そして,がん・炎症など疾患の分子機構の理解へ
  • 【出版社名】羊土社

お近くに取扱書店が無い場合,特に海外でご覧になりたい場合,羊土社HPでのご注文および発送も承っておりますので,下記ご参照のうえ,注文をご検討ください.

羊土社HPでのご注文について

本書を羊土社HPにてご購入いただきますと,本体価格に加えて,送付先・お支払い方法などにより下記の費用がかかります.お手続き等詳細は書籍購入案内のページをご参照ください.

分類 項目 費用
国内 消費税 +540円
送料 0円(5,000円以上,国内送料無料)
手数料(代引きのみ) +300円
海外 航空便送料 第1地帯(アジア、グアム、ミッドウェイ等) +890円
第2地帯(オセアニア、中近東、北米、中米) +1140円
第2地帯(ヨーロッパ) +1140円
第3地帯(アフリカ、南米) +1490円
EMS便送料 第1地帯(アジア、グアム、ミッドウェイ等) +1540円
第2地帯(オセアニア、中近東、北米、中米) +2180円
第2地帯(ヨーロッパ) +2400円
第3地帯(アフリカ、南米) +2740円

※この表は本書のみご購入いただいた場合の費用をまとめたものです.他の書籍を同時に購入する場合はお申し込み金額や重量により費用が異なってまいりますのでご注意ください.

海外でご活躍中の皆さまへ 書籍のご購入方法,電子書籍,そのほか役立つ情報をご案内します

法人向け 購入のお問い合わせ

法人での書籍の一括購入につきまして,「見積書や請求書払い」「複数の発送先への対応」「研修用などで使用する書籍の選定についてのアドバイス」等、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。

こちらの書籍もお勧めいたします

  • 9784758125772
  • 9784758121309
  • 9784758104166
  • 9784758104159
  • 9784758113731
  • 9784758125741
  • 9784758121682

電子書店で購入する

本書が販売されている主な電子書店をご紹介いたします.

  • 羊土社HP外のサイトになります
  • ご利用方法は各電子書店でご確認ください
  • Knowledge Worker
サイドメニュー開く