• 生物の多様性と進化の驚異[分子生物学講義中継]
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分子生物学講義中継

分子生物学講義中継 番外編

生物の多様性と進化の驚異

  • 井出利憲/著
  • 定価 4,800円+税
  • 2010年08月 発行
  • B5判
  • 331ページ
  • ISBN 978-4-7581-2014-2
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  • 本書概要
  • 目次詳細
  • 立ち読み
  • 読者の声

分子から紐解く生物多様性への讃歌.地球誕生からヒトが生まれるまで,生物の試行錯誤が面白くってたまらない!豊富なイラストと親しみやすい解説で,生き物の歴史が楽しく身に付く!生物が大好きな人にお勧めです.

内容見本
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※本書の正誤表はこちらをご参照下さい.

1日目 生物とは何か-その特徴

  • 物質からみた地球型生物の特徴
  • 生物の特徴は高分子有機化合物の集合体
  • 水は生き物の主成分
  • 生物はシステムである
  • 生物は自然法則に反する存在にみえる
  • 生物は外界からの刺激に応答する
  • 生物は子孫を作る
  • この本で扱うこと

2日目 生き物の多様性と系統

  • 生物の分類と系統
  • 分類学の今
  • 生物の自然分類
  • どうやって分類するか
  • ヒトに身近なところから分類していく
  • 脊椎動物亜門という見通し
  • 原索動物亜門
  • 脊索動物門というひとまとめ

3日目 もっと広く動物の世界をグループ分けする

  • 分類表と系統樹
  • 新口動物のグループ
  • 旧口動物のグループ
  • 2つの幹の根元のグループ
  • 単細胞生物のグループ

4日目 植物界のグループ分け

  • 植物界の全体像
  • 狭義の植物界
  • 藻類
  • 菌類
  • 全部でどのくらいの種類の生物がいるのか

5日目 生物界全体のグループ分け

  • 生物界全体を分ける
  • 従来の分類法の限界
  • 生物界全体の関係を定量的に測る共通の尺度
  • 分子時計を使って調べる
  • 3超界分類
  • 遺伝子の変化しやすさ
  • もう少し動物界の細部をいうと

6日目 真核生物の6界分類と共生進化

  • 真核生物の再分類
  • 光合成する生き物
  • 共生による生物進化
  • 生物系統学の完成へ

7日目 生物多様性は進化によって生まれた

  • 生物の歴史を探るために重要な地球の歴史
  • 遺伝子と化石で辿る生物の歴史

8日目 地球の誕生から細胞の誕生

  • 地球の誕生
  • 有機化合物ができる
  • 高分子の合成と小胞の生成
  • 古細菌の誕生
  • 真正細菌の誕生

9日目 真核生物の誕生

  • 真核生物は古細菌から生まれた
  • 真核生物はDNAを貯蔵する核をもった
  • 真核生物はクロマチン構造をもった
  • 真核生物は複雑な細胞内構造をもった
  • 真核生物は細胞骨格をもった
  • 真正細菌の共生とオルガネラ化
  • ヒトの誕生までに必要だったこと

10日目 有性生殖

  • 子孫を作るということ
  • 真核生物における有性生殖
  • 生殖細胞と有性生殖のさまざまなあり方
  • 有性生殖の意味
  • 動植物の無性生殖
  • 雌雄の決定
  • ヒトの場合の生殖細胞形成

11日目 多細胞への多様な遺伝子を準備する

  • ラクシャリー遺伝子の準備
  • 遺伝子セットの倍数化
  • 有性生殖による遺伝子の混ぜ合わせ
  • DNA組換えによる遺伝子重複
  • シャフリングによる新しい遺伝子の構築
  • 遺伝子の水平移動とトランスポゾン
  • 形作りの遺伝子を用意する
  • 遺伝子の蓄積とやりくり

12日目 遺伝子の働き方と表現型の変化

  • 多細胞動物における遺伝子の働き方の調節
  • 細胞分化と遺伝子の働き
  • シグナル伝達系と遺伝子発現調節
  • 小型RNAというとんでもない調節系

13日目 多細胞真核生物の誕生

  • 多細胞化の時代
  • 原生代…多細胞生物の夜明け
  • 古生代という夜明け
  • 中生代という時代
  • 新生代は哺乳類の時代

14日目 生物大絶滅

  • 地球規模の大変動による大絶滅
  • プルームテクトニクスと生物の栄枯盛衰
  • 超大陸の形成と分裂の歴史
  • 氷河期の襲来
  • 大絶滅はどのくらいあったか
  • 大絶滅は進化の源である
  • 生物の繁栄と酸素濃度

15日目 ヒトの誕生

  • 化石からみた霊長類の展開
  • ヒトの先祖としてのヒト族
  • 新たな人類の誕生はあるのか

本書の元になった実験医学onlineのWEB連載「生物の多様性と進化の驚異」

第1回 生物界全体をグループに分ける(2010年6月22日更新)より抜粋

3.分子時計の解析から導かれた3超界分類

■ すべての生物がもっている種類の遺伝子に注目する

全生物の系統を調べる際には,一部の生物ではなく,すべての生物がもっている共通の遺伝子を対象にする必要があります.タンパク質合成という機能はすべての生き物に必要で,それにかかわる遺伝子はすべての生き物がもっています.こういう遺伝子は生物間で塩基配列が保存されているはずです.保存されているけれども生物管で少しずつ構造に差がある.

■ 3超界(3ドメイン)という大分類

図2

クリックして拡大

塩基配列のデータから系統樹を描くには,実はいくつもの仮定と技術が必要なのですが,細部はとばして1つの結論をいえば,1986年にカール・ウーズによって示された3超界(3ドメイン)分類があります(図2A).すべての生物がもっているタンパク質合成系の共通要素の1つである,リボソームRNA遺伝子の解析から得られたものです.これはゲノムプロジェクトが開始する前のことですが,リボソームRNA遺伝子の解析については以前から進んでいたために比較が可能になりました.この成果が,リボソーム遺伝子だけでなく,他の多くの遺伝子についても解析を進めて,系統関係をより詳細に見極めようとする機運を一気に加速しました.

・図2:『理系総合のための生命科学 第2版』(東京大学生命化学教科書編集委員会/編、羊土社、東京、2007)図1-4を参考に制作

■ 定量的な関係を示したはじめての全生物系統樹である

この図では,各枝の先端に現在生きている生物がいます.生物同士の近縁関係は,1つの生物の枝から分岐点までたどって別の生物の枝に移動して先端までたどって,全部の長さを合計したものによって示されます.そういう意味で,定量的に描かれたはじめての系統樹というわけです.実は,図2Aに示したのは最初の報告ではなく,さらに研究が進んでからの結果をまとめたものですが,3超界に分けるという基本は最初の報告と違いはありません.

■ すべての生物は共通先祖に由来する

第一に重要なことと思うのは,地球上のすべての生物が遺伝子DNAという共通の物質を継承していて,生物間で一定の関係をもって定量的な違いが存在することを示したことです.すべての生き物が共通の先祖から進化し多様化したものである,という仮定が具体的に支持あるいは保証されたことは重要です.これを進化の証明といってよいかどうかは,証明という言葉をどうとらえるかによって,異論があるかもしれませんが,従来に例をみないほどの強力な,地球上生命の一元性と,生物進化に対する証拠の提示であることは疑いないでしょう.

■ 古細菌という超界

古細菌は,地球上で最初に誕生したバクテリアの性質を残しているものと考えられます.深海だけでなく,温泉とか,地下深くとか,無酸素である上に,とんでもなく超高温,超高圧,高塩濃度,高い酸性など,極限的環境で生息するものが多いのも特徴です.嫌気的細菌に属しますが,酸素が要らないのではなく,酸素があると有害である(嫌気的)という意味では,原始の地球環境にいた生き物としてもっともらしいものです.細菌のグループのなかでもマイナー中のマイナーに思われていた古細菌は生物界全体のなかで,本来の生き物ではない「その他」的な扱いを受けてきたわけですが,真核生物と対等に,3超界の一角を占めていることは,思いもよらぬ結論でした.

■ 古細菌は細菌といっては紛らわしい

古細菌は核をもたない原核生物で,細胞壁をもち,顕微鏡でなければ見えないなど,通常のバクテリア(細菌)と似ているようではあります.しかし,古細菌は細菌の仲間であると考えてはいけない,古細菌というのは誤解を招く誤った命名である,といわれます.ちょっと乱暴な言い方をすれば,真正細菌と古細菌は非常に異なる生き物で,両者の違いは大腸菌(真正細菌)とヒト(真核生物)の違いほど大きい,ともいえるわけです.3超界に分けられるとはそういうことを意味します.

書評・感想
  • 15日で読めるように企画されており、抄読会用のテキストとして最適である。(私立大薬学部)
  • 生物の多様性と進化をたくさんのイラストを使い、親しみやすい語り口調で解説している。進化の過程でみせる生き物たちの試行錯誤の面白さが楽しめる。(東京新聞・中日新聞[2010/10/4付])
  • 実によくまとめられた本でした.今後,読み物としてのストーリーと独創的な発想が含まれ、知的好奇心を啓発する書物も期待します.
  • 医学に限らず,生物学を幅広く見渡せる良書である.生物学とはこんなものか,と楽しみながら俯瞰するのに良い本である.
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