実験医学増刊 Vol.23 No.9

細胞周期の最前線—明らかになるその制御機構

複製のライセンス化,チェックポイント,分裂期キナーゼなど精緻な分子機構と生命現象とのかかわり

  • 中山敬一/編
  • 2005年05月10日発行
  • B5判
  • 234ページ
  • ISBN 978-4-89706-110-8
  • 定価:5,940円(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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さまざまな分野から注目をあびる細胞周期研究の最新トピックスを掲載!G0期→G1期→S期→G2期→M期と細胞周期の時間軸に沿って解説減数分裂,チェックポイント,生命科学全体とのかかわりについても解説

目次

第1章 G0期からG1期へ 〜細胞周期が回転し始めるとき

概論:G0期 〜細胞周期研究における最後のブラックボックス【中山敬一】

  • to be or not to be, that is the question(実在か幻想か? それが問題だ)
  • 現在のG0期の定義
  • 分子論的なG0期の再定義に向けて

1. Rb,サイクリンC-CDK3とE2F6〜G0-G1移行期における分子メカニズムの新展開【洲崎悦生,中山敬一】

  • Rb:G0期制御の砦
  • サイクリンC-CDK3:新たなRbの不活化因子
  • Rb経路と非Rb経路:E2F6複合体はG0期の維持に貢献しているか?

2. G1期にp27を分解する新たなユビキチンリガーゼKPC【嘉村 巧】

  • p27のクローニング
  • p27の構造と発現部位
  • p27の発現コントロール
  • Skp2に依存しないp27の分解機構
  • p27の細胞内局在の変化

3. サイクリンDの機能とその発現調節【竹内 隆】

  • サイクリンDの機能
  • サイクリンDの遺伝子発現調節機構

4. G1期サイクリンとCDKのノックアウトマウスからわかった意外な真実【鉄 治】

  • G1期を制御するCDKキナーゼ活性
  • CDK2キナーゼ活性によらない癌細胞の増殖
  • CDK2ノックアウトマウス-不稔ではあるが成体になるまで成長する
  • サイクリンE1/E2ダブルノックアウトマウス-胚の第11.5日まで生育する
  • サイクリンD1/D2/D3トリプルノックアウトマウス-胚の第12日まで生育する
  • CDK4/CDK6ダブルノックアウトマウス-胚の第14.5日から致死が始まる

第2章 S期 〜ここまでわかったDNA複製とその制御

概論:S期制御機構の解明と残された謎【正井久雄】

  • DNA複製研究の流れ
  • 複製起点の謎
  • 複製フォークの謎
  • 複製開始制御におけるリン酸化の謎
  • 複製以外の機能をもつ複製因子
  • 複製因子と疾患:診断と治療

1. ATP/ADPスイッチによる,ORCの活性制御【水島 徹】

  • Orc1pに関する解析
  • Orc5pに関する解析

2. MCMタンパク質複合体の機能制御【石見幸男】

  • MCMのDNAヘリカーゼ活性と構造の解析
  • MCM4/6/7の役割分担と新たな機能
  • MCMヘリカーゼの機能発現制御
  • MCMのリン酸化の役割

3. 真核生物染色体DNAの複製開始領域への複製タンパク質の集合機構【荒木弘之】

  • 複製タンパク質の開始領域への結合
  • GINS複製複合体の分離
  • GINS複合体の機能

4. DNA複製のライセンス化制御【吉田和真,滝澤温彦,久保田弓子】

  • pre-RC形成による染色体の複製ライセンス化
  • ライセンス化を阻害するCDK
  • 多細胞動物でのライセンス化制御の立役者Cdt1

第3章 G2期からM期へ 〜このダイナミックな変化の分子メカニズム

概論:はじめにM期ありき【岸本健雄】

  • M期のイベント
  • M期への移行に際してのCdc2の活性化
  • 染色体の分離分配制御

1. 染色体の構築と分離におけるコンデンシンの役割【小野教夫,平野達也】

  • コンデンシンの構造と進化
  • コンデンシンの細胞周期における動態とその制御
  • 中期染色体の構築におけるコンデンシンの役割
  • 姉妹キネトコアの方向性確立におけるコンデンシンの役割

2. スピンドルと動原体の結合機構【佐藤政充,登田 隆】

  • 分裂期の流れ
  • 分裂期に異常を示す変異体
  • TOGファミリーとTACCファミリー
  • TOGの分裂期における機能

3. いかにして動的スピンドルがつくられるのか?【船引宏則,木下和久】

  • スピンドル - その形態
  • 微小管の動的不安定性
  • XMAP215とMCAKがもたらす微小管のダイナミズム
  • Aurora-BはMCAKの微小管脱重合活性を抑制する
  • 染色体による微小管の重合促進

4. M期進行を調節するAuroraキナーゼ【佐谷秀行】

  • Aurora関連キナーゼの発見
  • 哺乳動物のAuroraキナーゼ
  • Aurora-A, Aurora-Bの分裂期における機能

5. Wee1ファミリーキナーゼの活性制御機構〜ヒトWee1Aのユビキチン化依存分解を中心に【渡辺信元】

  • Wee1ファミリーキナーゼ
  • Wee1の活性制御機構
  • ヒト体細胞型Wee1(Wee1A)のユビキチン化依存分解機構

6. p27の分解はM期の進行に必要である【中山啓子】

  • p27Kip1のSkp2によるユビキチン化と分解
  • Skp2ノックアウトマウスにみられた異常
  • Skp2/p27Kip1ダブルノックアウトでの表現型の消失

第4章 減数分裂 〜体細胞分裂との共通性と特異性

概論:減数分裂の制御機構:その核心に迫る【佐方功幸】

  • 減数分裂への移行と減数分裂前S期
  • 第一減数分裂における相同染色体の分配
  • MⅠ/MⅡ転移
  • MⅡの進行
  • 動物卵に特異的な減数分裂制御

1. 減数第一分裂における染色体分配の分子メカニズム【田中晃一,渡辺嘉典】

  • 姉妹染色分体接着と染色体分配
  • 減数分裂の特異性とその分子制御機構

2. 減数分裂周期における細胞周期制御機構【伊澤大介,山本正幸】

  • 体細胞分裂期と減数分裂期のMPF活性
  • 分裂酵母のMes1によるMPF活性維持機構
  • 出芽酵母Cdc14とFEARによる減数第二分裂への移行制御
  • 多細胞生物における減数分裂制御
  • 減数第一分裂から減数第二分裂への移行における問題点

3. 第二減数分裂制御にかかわる新しいCdc7/Dbf4キナーゼ複合体Spo4/Spo6【中村太郎,淡路 萌,下田 親】

  • Spo4はCdc7様プロテインキナーゼである
  • Spo4はDNA複製に関与しない
  • Spo4は第二減数分裂開始と進行に必要である
  • Spo4は前胞子膜形成にかかわる

4. 卵減数分裂を特徴づける細胞周期制御【井上大悟,兼森芳紀,佐方功幸】

  • Pro-Ⅰ停止からの解除 〜G2/M期転移の引き金〜
  • MⅠ/MⅡ転移 〜S期省略の分子機構〜
  • 二次停止 〜いかにしてM期に停めておくか〜
  • 受精後の体細胞周期の切り換え

第5章 チェックポイント 〜細胞周期の危機管理

概論:染色体DNA不安定化に対する時空的防御ネットワークシステム【中西 真】

  • DNA複製チェックポイント
  • DNA損傷チェックポイント

1. 複製フォークを監視するチェックポイントタンパク〜染色体複製装置の危機管理【白髭克彦,加藤由起】

  • 複製チェックポイント制御機構とは?
  • 複製チェックポイントと染色体複製の連携

2. DNA複製と損傷チェックポイントの分子機構 【村上浩士】

  • DNA複製と損傷をモニターするチェックポイント因子
  • DNA複製チェックポイントとスピンドルチェックポイント因子Mad2との関係
  • DNA複製チェックポイントとスピンドルの関係

3. 動原体による染色体運動とスピンドルチェックポイントの制御【松本智裕】

  • 姉妹染色分体の対合
  • 動原体による染色体運動の制御
  • 動原体によるスピンドルチェックポイントの活性化
  • スピンドルチェックポイントのシグナル伝達とターゲット
  • スピンドルチェックポイントの解除

4. 出芽酵母の細胞壁合成をモニターする新規チェックポイント機構【関谷瑞穂,大矢禎一】

  • 細胞壁合成をモニターする新規チェックポイントの発見
  • 細胞壁チェックポイント欠損株wac1の単離
  • ダイナクチン複合体は細胞壁チェックポイントシステムに必要である
  • 細胞壁チェックポイントシステムはM期サイクリンClb2pの蓄積を転写レベルで阻害する
  • 細胞壁チェックポイントと形態チェックポイント
  • 細胞壁チェックポイントと分裂酵母septationチェックポイント
  • 細胞壁チェックポイントとcell integrity経路

第6章 生命現象と医学における細胞周期研究 〜細胞周期研究はどこへ向かうのか

概論:細胞の生と死:癌はなおるか?【西本毅治】

  • 細胞複製
  • 細胞死:Apoptosis
  • 癌遺伝子と癌抑制遺伝子
  • 今後の課題

1. p16Ink4a/Rb経路の細胞老化と細胞周期における役割【高橋暁子,山越貴水,原 英二】

  • 細胞老化
  • p16Ink4a/Rb経路
  • p16Ink4a遺伝子発現誘導機構
  • E2F/DP複合体の細胞老化における役割

2. p53とRBタンパク質のユビキチン依存的分解機構と癌【北川雅敏】

  • p53の活性制御と分解機構
  • pRBの量的制御機構
  • p53およびpRBの分解と癌化

3. 癌遺伝子産物c-Mycの分解機構【畠山鎮次,丸山 覚】

  • c-Mycの安定性に関与するリン酸化
  • ユビキチン化と転写活性化のクロストーク
  • c-MycのE3としてのSCFSkp2
  • c-Mycの新たなE3としてのSCFFbw7

4. 神経上皮における細胞周期,運命決定,組織形成運動のリンク【宮田卓樹】

  • 神経上皮のスライス培養では細胞周期進行を「見る」ことができる
  • 大脳皮質原基における「異所性分裂」の謎

5. システムバイオロジー的手法を用いた細胞周期制御因子の機能解析【小谷秀示,石原孝也,堀田晶子】

  • ペトリネットとは
  • 細胞周期コア制御
  • 細胞周期コアのペトリネット化
  • シミュレーションによる機能予測

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  • 【本書名】実験医学増刊:細胞周期の最前線—明らかになるその制御機構〜複製のライセンス化,チェックポイント,分裂期キナーゼなど精緻な分子機構と生命現象とのかかわり
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