新 形づくりの分子メカニズム

１　１個の細胞からの奇跡「発生」

　１個の受精卵から
　胚葉間の相互作用により形がつくられる
　すべての形づくりに共通な基本的メカニズムがある？
　奇跡が解明される21世紀

２　発生生物学をリードするハエ

　１匹のハエから物語は始まる−ショウジョウバエの研究の歴史
　ショウジョウバエの発生過程
　形づくりは前後（頭尾）軸から
　　１．母性効果遺伝子bicoidの働き
　　２．位置情報を担う物質「形原」によるパターン形成モデル
　　３．bicoidタンパク質は形原である
　　４．bicoidタンパク質はギャップ遺伝子の発現を調節する
　胚に節をつくる
　　１．ペア・ルール遺伝子群による体節の位置の決定
　　２．セグメント・ポラリティー遺伝子群による体節の区画化と具体化
　ホメオティック遺伝子群による体節の特徴づけ
　　１．ホメオボックスの発見
　　２．ハエもヒトも形づくりのメカニズムは基本的に同じ
　予想外な背腹軸決定のメカニズム
　華麗な変身のための準備−成虫原基と変態
　　１．脚の成虫原基の形成過程
　　２．脚の成虫原基の成長過程
　　３．翅の成虫原基の形成
　　４．昆虫の脚の再生と位置情報

３　初期発生はカエルの出番

　１つの受精卵からいろいろな細胞になるしくみ
　　１．すべての細胞は同じ遺伝情報をもっている
　　２．誘導における細胞間相互作用
　中胚葉誘導
　　１．中胚葉誘導とは
　　２．中胚葉誘導の実体
　　３．中胚葉誘導と細胞増殖因子
　　４．中胚葉誘導の分子マーカー
　　５．尾のないマウスから見つかった遺伝子brachyury
　内胚葉の誘導
　神経誘導
　　１．シュペーマンの実験
　　２．オーガナイザー物質の探索
　　３．オーガナイザーは種の壁を超える
　　４．オーガナイザーはどのようにできるか
　　５．縦から横から−神経誘導に２つのモード？
　　６．オーガナイザー形成とBMP
　　７．オーガナイザーは阻害因子の宝庫である
　種間で保存されたパターン形成メカニズム
　　１．昆虫のdppと脊椎動物のBMPの役割
　　２．マウスのオーガナイザー因子は？
　　３．背腹軸形成に必要な細胞内因子
　神経管の背腹

４　ダイナミックな期間形成，ニワトリの翼

　翼の形成は器官形成のモデル系である
　　１．翼と手の関係
　　２．翼の形成過程
　四肢の形成が始まる分子メカニズム
　　１．線維芽細胞増殖因子（FGF）が側腹部に肢をもう１本誘導する
　　２．AER因子であるFGF8の発見
　　３．側板中胚葉の肢誘導因子はFGF10である
　四肢のパターン形成に関与するシグナル因子
　　１．肢芽の前後軸（重複肢の誘導）
　　２．肢芽の遠近軸
　　３．肢芽の背腹軸とその境界
　四肢の形成とホメオボックス遺伝子群
　　１．肢のパターンを決めるホメオボックス遺伝子
　　２．細胞の接着性とホメオボックス遺伝子
　　３．指の奇形とホメオボックス遺伝子
　　４．前肢と後肢の区別
　軟骨，骨，筋肉の形成
　　１．軟骨の形成
　　２．骨形成・骨吸収
　　３．筋肉の形成
　四肢の進化と形態形成遺伝子群
　

５　動物に眼をつくる共通な遺伝子

　眼のないネズミ−内田ラット
　　１．顔のできかた・鼻のできかた
　　２．眼の発生−Shhも関与
　　３．鼻と眼のない内田ラット
　眼をつくる遺伝子の発見
　　１．ウィルムス（Wilms）腫瘍と無虹彩症（aniridia）
　　２．無虹彩症の原因遺伝子はPax-6遺伝子だった！
　　３．Pax遺伝子ファミリー
　　４．Pax-6遺伝子の働き
　ショウジョウバエの複眼の形成

付 録

　モデル動物
　　線虫／ショウジョウバエ／ゼブラフィッシュ／アフリカツメガエル／ニワトリ／マウス