News & Hot Paper Digest
  • [SHARE]
  • Send to Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トピックス

サイレント変異の奏でる音が聴こえてきた

東京工業大学 科学技術創成研究院 田口英樹

イモン&ガーファンクルの往年の名曲「サウンド・オブ・サイレンス」は,タイトルを文字通り捉えると「無音のなかの音」ということで一見不思議なタイトルである.分子生物学における「サイレント」と言えば,同義コドンでの変異のためにタンパク質のアミノ酸配列には変化がない,いわゆる「サイレント変異」であろう.このサイレント変異がタンパク質の高次構造,ひいてはさまざまな生命現象に影響を与えうるということがわかってきた.

アミノ酸配列さえ決まればタンパク質の立体構造は一義に決定する,というのがタンパク質科学の大前提(Anfinsenのドグマ)である.よって,アミノ酸配列に影響を及ぼさない同義置換でタンパク質自体が変化を受けるはずがない,というのが従来の常識であった.実際,同義置換によって変化を受けるのはmRNAの2次構造やtRNAのレアコドンといったRNA側の問題で,結果として翻訳抑制が生じるというようなことは知られていた.しかし,最近になって同義置換によるコドンの選択により,翻訳に共役したタンパク質フォールディングが影響を受け,できあがってくるタンパク質そのものに差異が出てくるらしいという報告が続々と出てきている.

今回紹介する論文(Buhr F, et al:Mol Cell, 61:341-351, 2016)では,

.....

本コンテンツの続きをご覧いただくためには「羊土社会員」のご登録が必要です.

2016年7月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2016年7月号 Vol.34 No.11
記憶―その瞬間に脳で何が起きているのか?
記憶を形成し、維持し、呼び起こすメカニズム

林 康紀/企画/企画

新刊・近刊  一覧

iPS細胞のいま
生理学・生化学につながる ていねいな化学
シングルセルゲノミクス
完全版 ゲノム編集実験スタンダード
RNA-Seqデータ解析 WETラボのための鉄板レシピ
撃ち落とされたエイズの巨星
がん免疫の効果を左右する 腫瘍血管と免疫環境
再定義されるタンパク質の常識
脳の半分を占める グリア細胞

人材・セミナー  一覧

実験医学 電子バックナンバー発売中
羊土社の電子書籍
プライマリケアと救急を中心とした総合誌 レジデントノート
Gノート