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エントーシスによる細胞死が線虫の形態形成で機能する

国立遺伝学研究所 木村 暁

C. elegansはシドニー・ブレンナー博士が多細胞生物に関する諸問題にアプローチするためのモデル生物として選択し,これまでに多くの重要なメカニズムを明らかにしてきた.代表的なものとしてプログラム細胞死のメカニズム解明がある.カスパーゼ酵素を必要とするアポトーシスがプログラム細胞死として有名だが,現在ではプログラム細胞死は13種類に分類されている1)

このうちエントーシス(entosis)は2007年にOverholtzerらによって命名された細胞死である.エントーシスにはカスパーゼは必要なく,細胞は隣接する細胞に貪食されることにより死ぬ.エントーシスは当初,がん細胞において観察され2),その後,マウス着床時の子宮内膜管腔上皮細胞3)や,カメ精巣での精子の細胞死4)もエントーシスであることがわかってきた.しかし,個体発生の形態形成過程にエントーシスが寄与するかの報告はなかった.

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2019年7月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2019年7月号 Vol.37 No.11
細胞老化の真機能
加齢性疾患に対する新たな治療戦略を狙え

原 英二/企画
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