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遺伝暗号拡大による新規機能性タンパク質合成の可能性

東京農工大学大学院工学府 生命工学専攻 養王田正文

命は20種類のαアミノ酸を選択してタンパク質を合成している.3塩基から構成されるコドンには64種類の組合わせがあり,コドンとアミノ酸の対応は1対1ではない.64種類のコドンをすべて使い分けることができれば,原理的には終止コドン1つを除いて63種類のアミノ酸を使うことが可能となる.20種類のアミノ酸でも膨大な種類のタンパク質ができるが,63種類だと無限に近い組合わせが可能となる.そのような人工生命を創出することは困難としても,非天然型のアミノ酸を導入することで,全く新しい機能性タンパク質の合成が期待できる.すでに,非天然型アミノ酸を含むタンパク質の合成は行われているが,効率や取り込める非天然型アミノ酸の種類などに限界があった.今回,Chinらは,tRNA displayとよばれる技術を開発し,遺伝暗号の拡大への道を開いた(Dunkelmann DL, et al:Nature, 625:603-610, 2024).

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DOI:10.18958/7431-00004-0001393-00

2024年4月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2024年4月号 Vol.42 No.6
動き始めたゲノム編集の医療応用
免疫再生医療からダウン症治療、異種移植までin vivo/ex vivoでの多彩なアプローチ

北畠康司,犬飼直人/企画
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