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相同組換え編集の効率を改善する化合物が引き起こす問題

東京科学大学血液内科学 雁金大樹

CRISPR/Cas9システムにより,遺伝子編集技術の正確性・簡便性が飛躍的に向上し,遺伝子治療は疾患治療の現実的な選択肢の1つとなっている.CRISPR/Cas9のみで行う遺伝子編集は,切断されたDNAがNHEJ(non-homologous end joining,非相同末端結合)によって修復される際のINDEL(塩基の挿入もしくは欠失)が引き起こすフレームシフトによる,標的遺伝子の発現欠損効果が期待される.この方法による遺伝子治療は遺伝性の血液疾患に対してすでに臨床応用されており(Frangoul H, et al:N Engl J Med, 390:1649-1662, 2024),欧米では上市されて通常診療に組み込まれている.しかしNHEJ法では遺伝子欠損を生じさせるのみで,変異遺伝子を正常な配列に編集することによる正常遺伝子の発現はできない.そこで,精密な遺伝子編集による次世代の遺伝子治療として,DNAテンプレートを用いたHDR(homology directed repair,相同組換え)が研究されている.

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DOI:10.18958/7737-00004-0006022-00

2025年6月号掲載(5/20更新)

本記事の掲載号

実験医学 2025年6月号 Vol.43 No.9
特集1:フェロトーシス 鉄代謝と細胞死 鉄、脂質、レドックスが開くがん・老化の突破口/特集2:フローサイトメトリー革命 スペクトル方式で何が変わるのか?

諸石寿朗,清田 純,山本拓也/編/企画
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