プロフェッショナル根性論

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第8回 耳から入る洋書読破術

人間力英語術(実験医学2008年8月号)のOnline Supplement Material

本誌連載第8回では,日本人中年男性研究者のためのサバイバル英語術として,「人間力」という長所をレバレッジする英語術についてご執筆いただきました.

今回のOnline Supplement Materialでは,サバイバル英語とは視点を変えて,語学・教養としての英語を勉強するための,島岡先生推薦のインターネット上のリソースをご紹介いただきます.英語の一般書籍を読んでみたいが挫折してしまう,ヒアリングがうまくできない,という方にもおすすめの内容です.(編集部)

洋書を多読する秘訣:通勤時間にオーディオブックを利用する

通勤勉強

英語で論文を読み,論文を書いていても一般の洋書を読破することは簡単ではない.しかし,数十冊読破すれば,かなり自分の中の英語コンプレックスが軽減するし,教養がついたような実感がする.挫折せずに読み進めるために私がよく使う方法が,まず Audible.comで購入したオーディオファイルを通勤時間を利用してiPodで聞き,その後同じタイトルの洋書をAmazon.comで購入して斜め読みする方法である.この方法だと月2冊程度のペースで洋書を読める.挫折するオーディオや書籍も3回に1回ぐらいの割合であるが,気にせずどんどん新しいオーディオと書籍に進んで行こう.半分ぐらいまで読んだら(オーディオで内容は知っているので)最終章へ進んで終わりにしてもかまわないと私は考えている.多読と達成感が重要である.

私の推薦するオーディオ・洋書は:

1. Seth Godin「to wwwthe dip

本誌連載第2回「自分の世界で一番になる」のネタ本.内容は素晴らしいうえに短い(76ページ),まずこれを読破して自信をつけたい.オーディオは著者自身のナレーションであり,英語も聞き取りやすい.

2. Andrian Slywotzky「to wwwthe Art of Profitability

若手ビジネスマンであるスティーブと,伝説の投資家デビッド・ザオとの禅問答にも似た23回のビジネスモデル(コカコーラやバービー人形の強さの秘密,ホンダの多角経営,ハリウッドの映画の作り方など)のレッスンである.Audibleのベスト・ナレーションにノミネートされた作品だけあって,オーディオの完成度は高く二人の会話に引き込まれる.ビジネスのことにそれほど興味がなくても十分楽しめる.書籍は各レッスンが10ページ程度なので区切りの良いところで止められる.

3. William Ury「to wwwthe Power of a Positive No

ハーバードでGlobal Negotiation Projectを教える著者の「Getting to Yes」にはじまる交渉術に関するシリーズの最新刊.シリーズの中では最も平易で親しみやすい内容.いかにNOと言いつつ,YESにたどり着くかの極意が学べる.

“米国版・青年の主張”を聴いてみる

This I Believeは“米国版・青年の主張”ともいえるNational Public Radio(NPR)のショートプログラムであり,一般の視聴者から投稿されたエッセイのうち選ばれた作品1つを毎週本人がラジオで朗読するというものである.時おり一般の視聴者に混じって芸術家や政治家など有名人が自らのエッセイを読むこともある.各エッセイは5分程度で,トランスクリプトもウェブに掲載されているので便利である.まずは,私のおすすめであるto wwwパウエル前国務長官のエッセイ「The America I Believe In」を聴いてみて欲しい.


両親がジャマイカからの移民であり,官僚の頂点にたつ国務長官にまで昇りつめたパウエル氏が,移民を幅広く受け入れてきたアメリカに対する愛国心をノスタルジーをこめて語っている.最後の一節の,ブラジルからの交換留学生がシカゴのレストランで食事をした後お金を持っていないことに気づく,そのときの学生と店の主人との間のエピソードは,アメリカが無くしつつあるオープンネスを彷彿とさせる.

大統領のスピーチ集は格好の教材

歴代大統領のスピーチはよく練られており,英語勉強の教材としては王道である.オーディオファイルとトランスクリプトは「to wwwAmerican Rhetoric: Top 100 Speeches」から入手できる.


私のおすすめはto www冷戦中のレーガン大統領のベルリンの壁の前でのスピーチである.

中盤でのサビの部分:

General Secretary Gorbachev,
if you seek peace,
if you seek prosperity for the Soviet Union and Eastern Europe,
if you seek liberalization:
Come here to this gate.

Mr. Gorbachev, open this gate.

Mr. Gorbachev -- Mr. Gorbachev, tear down this wall!
		

ソビエト連邦のゴルバチョフ共産党書記長に力強く語りかけるこの歴史的スピーチの一節は,ベルリンの壁崩壊へのプレリュードとなり、JFK以降忘れかけられていた言葉の持つ力の大きさを人々に気付かせてくれたと思う.


著者プロフィール

島岡 要(Motomu Shimaoka)
大阪大学卒業後10年余り麻酔・集中治療部医師として敗血症の治療に従事.Harvard大学への留学を期に,非常に迷った末に臨床医より基礎研究者に転身.Mid-life Crisisと厄年の影響をうけて,Harvard Extension Schoolで研究者のキャリアパスについて学ぶ.現在はPIとしてNIHよりグラントを得て独立したラボを運営する.専門は細胞接着と炎症.
ブログ:to www「ハーバード大学医学部留学・独立日記」A Roadmap to Professional Scientist
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加筆・修正をしてますます洗練された内容にパワーアップ!タイトルも新しく『やるべきことが見えてくる 研究者の仕事術』に生まれ変わりました!
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