めざせ実験の達人-トラブル回避のコツと最新キットで極める!
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めざせタンパク質定量と染色の達人
はじめに

タンパク質染色の概要とポイント

実験手法の概要

タンパク質サンプルをSDS-PAGEなどの電気泳動にて分離した後,分離されたタンパク質を検出する.通常,全タンパク質を検出することが多いが,リン酸化タンパク質や糖タンパク質,Hisタグ融合タンパク質などの特徴的なタンパク質のみを特異的に検出することも可能である.電気泳動によって分離したゲルの状態で染色することが一般的であるが,膜に転写後に膜上で検出することもある.

実験手法の流れ

  1. 電気泳動(場合によっては転写)
  2. 染色液によるゲルまたは転写膜の染色
  3. 洗浄
  4. 検出(肉眼,蛍光検出など)
  5. データの取り込み,必要に応じて定量や染色タンパク質の回収

ココがポイント

電気泳動後のゲル中のタンパク質染色のトラブルは通常少ないですが,銀染色や蛍光染色などの高感度な検出の際には注意深く行わないと,指紋や皮膚ケラチン,ホコリ,チリなどの染色像が見えてしまって汚くなることが多いようです.このような場合は,手袋着用や,ゲル溶液・サンプル溶液のろ過など注意を払うことによって改善されます.また,蛍光検出では使用する検出機器との適合性に注意が必要です.

リン酸化タンパク質やHISタグ融合タンパク質などの特異的染色法は概して感度がそれほど高くないので,濃縮されたサンプルや純度の高いサンプルでは有効に使用できますが,クルードなサンプルや純度の低いサンプルの場合は使用しにくい場合があることにも気をつけましょう.

なお転写膜上でのタンパク質の染色は,ウエスタンブロッティングでの転写ムラの確認などで有益な情報をもたらすことが多いので,重要な実験の際には行った方が良いと思われます.

Q14 膜タンパク質の測定定量と染色のQ&A一覧へQ15 どんな染色法を選ぶべき?

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プロフィール

森山先生
森山 達哉(Tatsuya Moriyama)
京都大学農学部食品工学科卒.同大学院農学研究科修士課程,博士課程ののち,京都大学食糧科学研究所助手 等を経て2005年に近畿大学農学部講師,2008年准教授.その間,1996年米国スタンフォード大学招聘研究員(1年間).毎日多くの元気な学生たちと一緒に,食品成分の生理機能性(特に脂質代謝への影響)と安全性(特にアレルゲン性)に関する研究を行っている.基礎研究だけでなく,社会の役に立つ「アウトプット」を意識した研究を進めています.
<著作>
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