細胞が有するタンパク質分泌機能を正常に保つためには,分泌されたタンパク質が正常に折りたたまれることと,異常な折りたたみ構造となってしまったタンパク質を除去・分解する機構が必要である.これら2つの作業はともに小胞体内で行われるが,そこにはタンパク質の恒常性を維持するための調節機構(細胞内情報伝達経路)が存在する.異常な折りたたみ構造のタンパク質が小胞体内に蓄積することを小胞体ストレス(ER stress)とよぶが,タンパク質の恒常性を維持する調節機構は小胞体ストレスに対する細胞の生理応答と考えられる.この調節機構の活性化は小胞体内の異常な折りたたみ構造の(もしくは,折りたたまれていない)タンパク質の量に比例するため,この反応は小胞体ストレス応答(unfolded protein response:UPR)と称されている.UPRは正確な量の分泌タンパク質の生成に必須であり,また,細胞内外のタンパク質の恒常性を維持する点においても重要な働きを担っている.そのため,細胞が小胞体ストレスに晒されたとしても,UPRが正常に機能していれば,細胞は小胞体ストレスによる障害を回避することができる.しかし,UPRが機能せず,アポトーシスにかかわる因子が活性化してしまった場合には,細胞は不可逆な障害をうけて死に至ることになる.今回の特集では,小胞体ストレス研究の第一線で活躍しているエキスパートの諸先生方に,小胞体ストレスと疾患の関係についての最近の知見をまとめていただいた.
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細胞内外のタンパク質の恒常性を司るメカニズム「小胞体ストレス応答」は,多様な疾患の治療標的として注目を浴びています.その精妙なバランスからなる分子機構を,海外発の最新知見を交えてご紹介いただきます.
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