SIR2(silent information regulator 2)ファミリー(サーチュイン)のNAD依存性脱アセチル化酵素活性の発見から10年が経ち,タンパク質の脱アセチル化とエネルギー代謝の間にある数多くの興奮に満ちた関係が明らかにされてきた.サーチュインの重要性は,さまざまな栄養・環境刺激に対する多くの基本的な生物学的応答の制御において,確固たるものとなってきている.サーチュインはまた,モデル生物における老化・寿命の重要な制御因子としても認識されるに至っている.サーチュインがもつNADを絶対的に要求するという性質が,哺乳類におけるNAD合成系の研究に対する興奮を再び呼び起こすことにもなってきている.さらには,サーチュインを標的とした老化関連疾患に対する創薬あるいは栄養学的方法論が,今や目前のものとなりつつある.本特集では,こうしたサーチュイン研究の最近の進歩,特に哺乳類サーチュインの生物学における進歩を概括し,サーチュイン,代謝,そして2型糖尿病のような老化関連疾患との関係を再評価することで,次の10年間におけるサーチュイン研究の里程としたい.
長寿遺伝子としても注目を浴びるサーチュイン.SIRT1〜7が全身性ネットワークを通して制御するメタボリズムの分子機構から,レスベラトロール等によるサーチュイン活性化の機序,創薬への展開まで
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