ウイルスは宿主と同様にゲノムをもち,宿主システムを利用しながら自らの遺伝情報を子孫ウイルスに伝えて地球上でサバイバルを続けている.ウイルスが侵入した宿主細胞では両者の相互作用からさまざまなシグナル伝達系が動き出し,それらがインテグレートされた形での生命現象を感染現象と考えることができる.このシグナルバランスが破綻し,ウイルスと宿主の攻防において,ウイルスの力が宿主の防御力より強くなったとき,病原性が発現し感染症が発症する.感染現象および病原性発現機構を真に理解するには,ウイルスゲノムの複製や転写などの増殖機構,宿主域やトロピズム(指向性)といったウイルス側からのアプローチとともに,ウイルスに対する生命体の応答をシステムとして理解する“宿主システム”からのアプローチが不可欠である.
宿主に感染したウイルスは,いかにしてその病原性を発揮するのでしょうか? 脂質・エネルギー代謝や免疫過剰応答,治療効果予測にかかわるSNPの同定まで,ウイルス疾患の発症・重症化のメカニズムを解き明かす!
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