「救急外来ドリル」掲載・2026年4月15日公開

小児の診療では,常に虐待の可能性も考慮し対応すると思いますが,高齢者ではどうでしょうか.『令和6年度「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果』1)によると,養介護施設従事者等※1による虐待判断件数は年間1,220件,養護者※2によるものは17,133件と,増加傾向にあります().決して少なくなく,救急外来にも多くの疑い症例が来院していることをまず認識しましょう.

虐待は身体的なものが最多ですが,その他,養護者によるものでは心理的虐待,経済的虐待,介護等放棄の場合もあり,外傷を認めないからといって虐待ではないとはいえません.

受傷機転が明らかでない外傷以外に,症状出現から受診まで時間が経っている,褥瘡を認める,栄養状態が悪い,患者さんの病態に家族が無関心であるなど,違和感が少しでもあれば鑑別の1つに虐待をあげましょう.ただし,虐待が確定するまでは,あくまで“疑い”です.ほかの原因も含め鑑別し,虐待ありきで病歴を聴取してはいけませんよ.

※1:介護老人福祉施設など養介護施設または居宅サービス事業など養介護事業の業務に従事する者

※2:高齢者の世話をしている家族,親族,同居人等

引用文献

1)厚生労働省:令和6年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001658155.pdf


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