「救急外来ドリル」掲載・2026年6月10日公開

大動脈解離や肺血栓塞栓症を疑った際,皆さんはどのような検査を提出するでしょうか.D-dimerですか,それとも造影CTでしょうか.

検査はいつ行うべきか?

原則として,検査は結果によってその後の行動が変わる場合に提出します.検査結果が陽性でも陰性でも投薬する,追加の検査を行うなど方針が変わらないのであれば意味がありません.研究などデータを残す理由がある場合にはその限りではないかもしれませんが,患者さんのマネジメントを考えるうえでは,検査結果によって行動が変わるか否かがポイントとなります.

検査結果の解釈は?

ある検査をして陰性という結果が返ってきたら,それは真の陰性と捉えてよいのでしょうか.いかなる検査も絶対はなく,偽陽性,偽陰性といった精度が不十分が故のエラーは必ず存在します.○○に対する検査の感度は△%,特異度は□%と,感度・特異度も重要ですが,それ以上に検査前確率がきわめて大切です.

大動脈解離や肺血栓塞栓症では,D-dimerや造影CTが重要な検査となりますが,D-dimerはこれらの疾患がらしくない(unlikely)症例において威力を発揮し,造影CTはらしい患者(likely)や否定できない患者に対して施行する意義が高い検査となります.大動脈解離や肺血栓塞栓症らしい患者に対しては,D-dimer陰性を理由に除外するのではなく,造影CTを施行し評価することが大切なのです.

らしいからしくないかは,大動脈解離であればADD risk score1)を,肺血栓塞栓症であればWells rule(Revised Geneva scoreでも可)やPERCを用いて判断するとよいでしょう2).腎機能を理由に,必要な造影CTをためらってはいけません.臨床的に必要と判断される場面では,原則として造影CTを実施します3).「腎機能が悪いから撮らない」のではなく,「いま,この患者さんに造影CTが必要か」を軸に考えることが大切です.

引用文献

1) Rogers AM, et al:Sensitivity of the aortic dissection detection risk score, a novel guideline-based tool for identification of acute aortic dissection at initial presentation: results from the international registry of acute aortic dissection. Circulation, 123:2213-2218, 2011(PMID:21555704)

2) Raja AS, et al:Evaluation of Patients With Suspected Acute Pulmonary Embolism: Best Practice Advice From the Clinical Guidelines Committee of the American College of Physicians. Ann Intern Med, 163:701-711, 2015(PMID:26414967)

3) Sakamoto S:Rethinking Contrast CT in the Emergency Department: Why Pretest Probability, Not Creatinine, Should Guide Our Decisions. Cureus, 18:e100989, 2026(PMID:41658738)


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