総合診療はおもしろい!

WONCA(世界家庭医療学会)アジア・太平洋会議 in マレーシア レポート
津田修治(静岡家庭医養成プログラム/森町家庭医療クリニック)

2014年5月21日〜24日,マレーシア・クチンにて,WONCA(World Organization of Family Doctors,世界家庭医療学会)Asia Pacific Regional Conference 2014が開催された.本学術会議に参加した若手家庭医の視点からこの会議の模様と所感をレポートする.

Nurturing tomorrow's family doctor

本学術会議では,“Nurturing tomorrowʼs family doctor”をテーマに掲げ,アジア・太平洋諸国を中心に,地域に根差した活動を広げる家庭医たちを育成・支援するような企画が充実していた.講演では,医療提供体制の構築や災害対応など,各地域の健康にかかわる課題と格闘する家庭医の活動が詳細に報告された.ワークショップや一般発表では,文化や環境から生じる医学的課題や公衆衛生学的課題への対策,医療問題への取り組みを扱うものも多く,非常に興味深いものだった.例えば,避妊や妊産婦のケア,結核予防,肥満やタバコを含めた生活習慣病,高齢者のケア,僻地への医療提供,衛生などのクリニックの環境から医療プロセスへ,医学的アウトカムへとステップアップする医療の質改善などであった.このような地域の現状や健康問題に正面から向き合い,患者・家族・地域にとって価値のある医療の提供に心を砕き,多面的なアプローチをする家庭医の姿は各国に共通するものであることが強く認識された.この体験から医療の原点を再確認するような気持ちを感じ,同時に,アジア・太平洋地域の家庭医たちと共有できたことは非常に勇気づけられるものだった.

アジア・太平洋地域での日本の家庭医の存在感と今後

学術会議のなかでのワークショップの一コマ

全参加者約1,000名のうち,日本からの参加者は開催国のマレーシア,そして中国に次ぐ3番目に多い58名だった.また,日本人医師の講演や司会に加え,一般発表は27題あり,懇親会の盛り上がりでも若手家庭医たちを中心に存在感を発揮し,今回の会議で日本の家庭医療の勢いを示すことができた.また,今回の会議からは外れるが,この学会の学術誌への投稿数も日本からの研究が急激に増加している現状もある.この日本の家庭医療の盛り上がりを背景に,5年後の2019年にはこのWONCAアジア・太平洋会議が日本で開催されることとなった.日本の家庭医たちのアジア・太平洋地域での存在感は増すばかりで,今後の牽引役としての役割が期待されていることを強く感じた.

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仲里信彦/編
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