総合診療はおもしろい!

第28回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー
馬渕真依(実行委員長,神戸大学医学部医学科6年),吉本 尚(筑波大学医学医療系)

  • [SHARE]

新専門医制度において19番目の基本領域として掲げられた総合診療科.研修プログラム施行こそ延期されたものの,団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けた世間のニーズ,学生の興味などは右肩上がりです.その一方で,家庭医療・総合診療に関する卒前教育は依然として大学により大きな差があり,必ずしも学生のニーズを満たしきれていないのが現状です.

日本プライマリ・ケア連合学会の学生・研修医部会では,全国の学生・研修医に家庭医療・総合診療に関する情報の共有や仲間を見つける場をつくりたいと考えており,地方単位で小規模な勉強会を定期的に開催する支部活動と,2泊3日でみっちり学ぶ年に1回の大型企画「学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー(以下,夏セミ)」を企画・運営しております.

参加者・講師の一体感を感じられる瞬間です(1日目懇親会にて)

第28回目となる今年は,2016年8月6日〜8日に静岡県の湯河原にて,“Catalyst”というテーマを掲げ開催しました.この夏セミが人と人とが繋がる触媒となるように.そして大学外の学び場がはじめての人はより広い学びの世界へ,家庭医療を学びはじめた人はより深い家庭医療の世界へ,家庭医療の学びに馴染んできた人はより実地臨床の世界へ…など,参加者それぞれの立場で次の段階“next stage”に進めるような触媒となるように,という運営スタッフの想いが込められております.

今年の企画は「〜家庭医のいろは Primary Care の にほへと〜」と題した家庭医療の基礎を学ぶ講演や,「今こそあなたが地域を医すとき〜地域と対話できる医療者へ〜」と題した地域のニーズ・地域志向性アプローチを学ぶ講演,38のテーマから5つを選択する参加型の「セッション」,第一線で活躍されている家庭医・総合診療医と熱く語る「Meet the Experts」,家庭医療・総合診療の後期研修プログラムが多数出展し具体的に自らのキャリアを考える「ポスターセッション」,学びの定着度を高め自らの将来を見つめ直すための「振り返り企画」,参加者や講師と熱く語りつくす「懇親会」,近年参加が増えてきている医療系学生や初期研修医のニーズを満たすべく開かれた企画などさまざまでした.3日間で家庭医療・総合診療のエッセンスを学び,おのおので振り返りその学びを定着させると同時に,同じ考えから違う考えまでさまざまな考え方をもった仲間やロールモデルと出会うことで将来像をより明確にイメージすることができる内容となりました.

今年は約230名の参加者と約230名の講師が集まりました.参加者だけでなく,スタッフ,講師を含むこの夏セミにかかわる全員が,新たな気づき・学び・出会いを得ることができる場となっております.ここで生まれた仲間との繋がりは,必ず自分の将来や明日の医療を変えていく強い原動力となることを確信しております.

第29回は2017年8月5日〜7日に開催予定です.また多くの参加者とともに大いに学び,大いに語り合うことができれば幸いです.

はじめから終わりまで,それぞれの経過に合った輸液ができる!

レジデントノート増刊 Vol.26 No.2
経過を追って考える 輸液の処方・調整のコツ
いつやめる?どう調整する?チェックするポイントとタイミングを押さえて、「何となく」の処方を見直そう

寺下真帆/編