総合診療はおもしろい!

「日本のプライマリ・ケアの再出発」のために若手家庭医ができることは? 〜第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で感じたこと〜
近藤 諭(三重大学医学部附属病院総合診療科/ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト中部地区コアスタッフ)

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第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会が,「日本プライマリ・ケアの再出発」をテーマに2018年6月16日,17日に三重県総合文化センターで開催された.全国から5,000人弱の学生・研修医,プライマリ・ケアにかかわる多職種の医療者,地域住民が参加した.

学生・初期研修医へ開かれた学会

学生・研修医である皆さんは,学術大会いわゆる「学会」へ参加したことはあるだろうか? 日々の学業や勤務に追われ,学会に参加する時間・費用捻出にも一苦労かもしれない.また,はじめての参加は,知人の誘いなどのきっかけがないと勇気がいる.「内容が難しく,理解できるか心配」といった理由で,二の足を踏んでいる方も多いだろう.

しかし,日本プライマリ・ケア連合学会学術大会では,そんな心配はいらない.学生・研修医の参加しやすさに配慮があるからである.例えば,今回の学術大会では,学生・研修医は参加無料であった.初学者向けの教育講演「総合診療・家庭医療コアシリーズ」が開催され,会場にいるだけで総合診療の全体像を掴むことができた.

学生・研修医と家庭医・多職種とのつながり

学生・研修医×わかて医師のつどいの様子.

医学生・若手医師支援委員会,ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト,学生・研修医部会によるコラボ企画「学生・研修医×わかて医師のつどい@三重」へ参加した.学生・研修医が新たなつながりをつくり,学会後に広がることをテーマに例年開催されている.

今年は,総合診療への思いや学びのツールの情報を交換しあった.具体的には,総合診療のサークルへの参加,メーリングリストやSNS・アプリによるつながりが共有された.仲間の不足から孤独や不安を感じる参加者もいたが,学会や家庭医療夏期セミナーへの参加がそれらの解消に役立つことを別の参加者から提案されていた.また,今回出会った仲間と連絡先交換を行った参加者もいた.出身地・年齢・背景が異なる仲間の集まりから,多様な視点から思いが共有され,不安が低減しているようであった.

もし,あなたが総合診療の道を選ぶか迷っているなら

学会参加は,総合診療医がどんな文化をもつのか肌で感じ,自らの決断が正しいことを確認できる千載一遇のチャンスになるだろう.また,総合診療の知識を得ることができ,志を同じくする仲間や指導医,多職種とつながることができるだろう.

来年の第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会は,2019年5月17日〜19日に京都で行われる.WONCA Asia Pacific Regional Conference 2019も同時開催されるため,国際的な家庭医療の動向をつかむことができる.総合診療を知り,まだ見ぬ仲間とのつながりを見つけるため,参加してはいかがだろうか.

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