アメリカでは「フライドポテト」を注文するときは,「フレンチフライ」というのが一般的です.いかにもアメリカっぽい食べ物ですが,もともとはフランス語を話すベルギー人がつくる料理であったことから,そう呼ばれるようになったそうです.私は某ハンバーガー店のフライドポテトがものすごく好きなのですが,周囲からは食べすぎは健康に悪いといつも叱られています.それでも食べたいので,本当にそうなのか調べてみました.
2016年,アメリカの男女約18万7千人を対象に,20年間にわたって高血圧と食生活との関係が調査されています.その結果,ジャガイモを週に4回以上食べる人は,月に1回未満しか食べない人に比べて高血圧のリスクが高く,しかも,油で揚げた場合には17%高血圧のリスク上昇が認められました1).同様に,大阪がん循環器病予防センターと米ハーバード大学との共同研究では,フレンチフライの摂取量が多いと2型糖尿病になるリスクが高くなるとも報告されています2).ジャガイモは炭水化物が豊富で消化・吸収されやすく,体内で糖に変わって血糖値が上昇しやすいことが理由の一つであり,周囲が私に注意するのは正しかったことになります.
ご存知のとおり,ジャガイモにはグリコアルカロイドと呼ばれる天然毒素が含まれており,その代表はソラニンとチャコニンです.通常の可食部では濃度は低く,問題にならないのですが,貯蔵中でも光への曝露や発芽などにより濃度が劇的に増加するそうです.そういえば,家庭科でジャガイモのくぼんだ所(芽)を包丁の刃でくり抜いて,緑の所はとり除くように習った覚えがありますが,実際は緑色の部分は葉緑素が増えているのであって,それ自体は毒ではないのですが,光を浴びた証拠であり,それだけ毒を多くもっている可能性が高いわけです.いまでも,学校給食や家庭菜園で育てたジャガイモでの中毒は一定数報告されており3,4),空いた段ボール箱などで日光が当たる環境でずさんに保存されていたり,毒素濃度が相対的に高くなりやすい小型の未熟なジャガイモが使われたりすることが,中毒が起きやすい理由のようです.グリコアルカロイドはアセチルコリンエステラーゼを阻害するので,ニコチン様症状が生じ,数十分〜12時間程度で頭痛,紅潮,嘔気・嘔吐,下痢,腹痛などの症状が現れます.グリコアルカロイドの分解は170℃以上の温度ではじまるそうで,私が大好きなフライドポテトを何度で揚げているか某ハンバーガー店に聞いてみると,「最適の温度で調理しております」との答えが返ってきました(笑).