今や脱毛の広告はいたるところで目にします.かつて洋画の俳優の多くは胸毛があり,毛深い男性が女性にもてた時代もあったそうですが,最近は嫌われることが多いようで,特に泌尿・生殖器の周囲のデリケートな場所の脱毛は身だしなみや衛生ケアの一環として認識されるようになってきました.
脱毛に関連する外傷は結構起きていて,米国で2014年1月に18歳から65歳の成人7,570人を調査したところ,男性の66.5%,女性の85.3%が脱毛(アンダーヘアの処理)を経験しており,そのうち25.6%が脱毛による外傷を経験しています.受傷内容は裂傷,熱傷が多く,男性の場合には陰嚢に怪我を負うことが多いと報告されています.外傷を負った人の1.4%が実際に医師の診察を必要としたそうですが,ほとんどは軽傷でした.なお,11回以上の除毛をしている人は外傷のリスクが高く,ワックス脱毛はカミソリなどを使う場合に比べて受傷するリスクは低いとされています1).救急外来にどれくらい来ているかを調べると,2002年から2010年の米国の救急外来を受診した除毛に関連する泌尿・生殖器外傷は推定11,704件あり,56.7%が女性でした.平均年齢は30.8歳,シェービングカミソリは受傷の83%に関与していました.この期間中の除毛関連の救急受診件数は約5倍に増加していたそうです2).
なぜ除毛をするのかをアメリカの大学生1,110人(女性671人,男性439人)に調査したところ,6割の男性が無毛の性的パートナーを好む傾向がありました3).南アフリカではどうかというと,1,218人の女性へのアンケート調査では,58.2%が少なくとも月に1回以上,アンダーヘアの一部または全部を除毛していたと回答しています4).除毛する人と全くしない人を比べると,除毛する人では24.5%がクラミジアや淋菌のいずれかまたは両方で陽性を示しており,除毛をしない人より有意に性感染症が多くみられました.陰毛の除去そのものがリスクというよりは,そうしたケアをする女性は性的に活発なのかもしれません.
当科の先生のなかには,奥様に勧められ全身脱毛をしている人もいます.毛がいろんなところに落ちるのが嫌がられるそうですが,最近は美容や性的理由だけでなく,将来介護されるときに不潔にならないように,という理由で脱毛する人も多いと聞きます.将来は若い人も高齢者も,全身脱毛するのが常識,なんて時代になっているかもしれませんね.