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2006年5-6月号
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最新号
(4月20日発行)
2006年5-6月号
(Vol.6 No.3)
定価 2,625円(税込)
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特集
知って役立つ糖鎖解析
基盤技術の整備と最新動向
企画/成松 久(産業技術総合研究所糖鎖工学研究センター)
・<概論>次世代バイオテクノロジー〜糖鎖機能研究の春到来
成松 久
糖鎖合成の主役を担うのは糖転移酵素である.その他,糖鎖に硫酸を転移する硫酸転移酵素,ドナー基質である糖ヌクレオチドを細胞質からゴルジ内腔に運ぶ糖ヌクレオチド・トランスポーター,糖ヌクレオチド合成にかかわる酵素群,など糖鎖合成に必須な遺伝子を総称して,糖鎖遺伝子(glycogene:GG)の名称を創案した.さらに広義には,糖分解酵素,レクチンなども糖鎖遺伝子に含めてもよい.
(中略)
糖鎖遺伝子から始まり,糖鎖合成,糖鎖構造解析が比較的簡単に誰でも可能な時代が到来した.ややもすると多くの研究者に「糖鎖は難しい」と敬遠されてきたのは.その合成,解析技術が存在しなかったからである.
これらの技術は日本発であり,現時点では,まだ世界をリードしている.しかし,ゲノム→プロテオーム→グライコームへの移行は,世界中で着実にかなりの勢いで進行している.せっかく開発されてきた技術を日本で有効に生かさねばならない.
・ほとんど終了したヒト糖鎖遺伝子クローニング
立花宏一,栂谷内晶,權 娟大,成松 久
われわれの体の構成成分のうち,DNA/RNAなどの核酸とタンパク質については精力的に解析が行れて多くのことがわかってきた.しかし,細胞表面あるいは分泌タンパク質表面にある糖鎖については,構造解析が難しいことなどの理由であまり解析がされてこなかった.しかし最近,ポストプロテオミクスの流れのなかで翻訳後修飾の主要な1分野として,また,癌マーカー・幹細胞マーカーをはじめとするさまざまなバイオマーカーとして,あるいは,インフルエンザウイルスなどの病原体の細胞表面受容体として,生体における糖鎖の重要性が再認識されてきている.
(中略)
糖鎖遺伝子には,糖転移酵素,硫酸転移酵素,糖-ヌクレオチド・トランスポーター,糖-ヌクレオチド合成酵素,糖加水分解酵素など,さらにはレクチンなどの遺伝子がある.糖転移酵素の遺伝子だけで,その数はヒトで200〜250種類と推定される.この章では糖鎖遺伝子解析の最近の展開と解析法について述べる.
・酵素による糖鎖合成技術の動向〜糖鎖ライブラリーの整備に向けて
伊藤浩美
糖鎖はタンパク質や脂質に結合し,細胞の成長・老化,免疫機能,癌,ウイルス感染など,われわれの生命活動に深く関与していることが徐々に明らかにされつつある.したがって将来的には,こうした重要な機能を司る糖鎖あるいは糖タンパク質の創薬・臨床への応用が期待されている.しかしながら,研究レベルでさえ,この鍵化合物ともいえる糖鎖の供給は充分なされていない.なぜなら,必要とされる糖鎖を十分な量,安価に,そして安定的に供給できる普遍的な方法が現在のところ見出されていないからである.それは糖鎖が多様性に富んだ構造を有するだけでなく,生体内の微量成分であるということに起因する.そこで,「ものづくり」としてのさらなる糖鎖合成技術の開発は糖科学の発展のためにも必要不可欠な課題であるといえる.本稿では,糖鎖合成技術の一端を担っている酵素法の観点からその合成技術の動向について紹介する.
・有機合成による糖鎖および糖タンパク質の合成技術の動向
梶原康宏,山本直毅
生体内のタンパク質の多くは糖鎖が結合した糖タンパク質である.糖鎖は,タンパク質に結合しその分子を覆うことで,タンパク質の抗原性,輸送,タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)への耐性,そして,タンパク質の三次元構造の維持などに寄与している.しかし,糖タンパク質は,構成するアミノ酸配列が同一であっても,糖鎖構造が不均一なことに起因する構造異性体の混合物として生合成されている.そのため,糖鎖の機能を明確にするため,および,創薬に利用するためには,単一な構造の糖鎖が結合したペプチドおよびタンパク質を自在に調製する技術が必要である.本稿では,糖タンパク質の合成に向けたこれら一連の成果を紹介する.
・質量分析計による糖鎖構造解析技術の動向
亀山昭彦
糖鎖は,構成分子が直列に並んでいる核酸やタンパク質とは異なり,枝分れ構造や立体異性の違いに基づく複雑な構造をしている.そのため単純な配列解析では構造を明らかにできない.従来,糖鎖の構造解析は,特別な技術をもった専門家によって複数の分析法を組み合わせて行われてきた.ところが昨今のゲノミクス,プロテオミクスの勃興にともない第3の生体鎖状分子である糖鎖についても微量・迅速・簡便な構造解析手法の確立が切望されている.そして,ここ数年で急速に進歩した高性能の質量分析計やインフォマティクスを巧みに利用することにより,そのようなテクノロジーが現実のものとなりつつある.本稿では,現在,活発に研究が進められている質量分析計(MS)を用いたグライコミクスに関する技術開発の動向を紹介したい.
・レクチンによる糖鎖プロファイリング技術の開発動向
久野 敦,平林 淳
タンパク質の大半は,糖鎖などによる翻訳後修飾を受けて機能を発現することから,ポストゲノム研究の対象として「グライコミクス」(糖鎖全体を対象とした研究)が注目を集めている.糖鎖は樹状構造をしており,かつ結合異性(アノマー異性)を含む多様性に富んだ分子である.糖鎖の合成は多くの糖鎖関連遺伝子の発現バランスに基づいており,ゲノム情報から糖鎖構造を画一的に予測することは不可能である.また,糖鎖にはPCRに匹敵するような増幅技術も存在しない.このため,DNAやペプチドのような理論的かつシンプルな手順で,糖鎖の配列決定はできない.そこで必要最低限の構造情報を効率よく取得し,その全体像を把握する「糖鎖プロファイリング」という手法が最近注目を浴びてきた.本稿では,その1つであるレクチンを用いた糖鎖プロファイリングについて,基本原理と最近の開発動向について論じたい.
・バイオインフォマティクスの糖鎖研究への貢献
菊池紀広
糖鎖は核酸,タンパク質に続く第3の鎖と呼ばれる.糖鎖合成遺伝子の網羅的発見や質量分析計などによる糖鎖構造決定技術の発展に伴い,ポストプロテミクスとしてグライコミクス研究に注目が集まっている.本稿では,グライコミクス研究におけるバイオインフォマティクスの現状について紹介する.
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