スマホで読める実験医学
550円

スーパーエンハンサーと転写凝集体:がんにおける転写凝集体の異常

Super-enhancers and transcriptional condensates: Their abnormalities in cancers
尾上耕一
Koichi Ogami:名古屋大学大学院医学系研究科分子腫瘍学
10.18958/7783-00001-0006109-00

がん細胞に特有の転写ネットワークにおいて,細胞のアイデンティティを規定するゲノム領域であるスーパーエンハンサーは特に重要な役割を果たしている.スーパーエンハンサーによる標的遺伝子の転写制御には,相分離を基本原理として形成される転写凝集体が深く関与している.近年の研究により,転写凝集体の形成と溶解,流動性調節のメカニズム,転写活性および協調的な転写バーストなどの転写動態への寄与など,その制御と機能に関する理解が急速に進展している.本稿では,転写凝集体研究の最前線を紹介するとともに,がんでみられる転写凝集体の異常について,その背景にある分子ルールも含め概説する.

スーパーエンハンサー,転写凝集体,相分離,融合遺伝子,天然変性領域

この記事は有料記事です

(残り約10,600文字)

  • 【スマホで読める実験医学】スーパーエンハンサーと転写凝集体:がんにおける転写凝集体の異常
    550円