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細胞周期における相分離の役割:基本原理からがん治療への展望まで

Phase separation and the cell cycle: mechanisms and implications for cancer therapy
猪瀬春子,吉村成弘
Haruko Inose1)/Shige. H Yoshimura1)2):京都大学大学院生命科学研究科1)/九州大学大学院理学研究院2)
10.18958/7783-00001-0006112-00

サイクリン依存性キナーゼによるタンパク質のリン酸化は,基質の酵素活性のみならず,液-液相分離などの巨視的な動態や状態変化も制御している.これにより,細胞周期の各段階では,一過的なcondensateや液相器官が形成され,転写やDNA複製,非膜オルガネラの分配などを時空間的に制御している.リン酸化・脱リン酸化調節の破綻は,これらの液相構造体の崩壊や異常形成に直結し,細胞周期制御の破綻,さらには腫瘍形成へとつながると考えられる.

Cyclin-CDK,電荷ブロック,Ki-67,染色体表層領域(PCL)

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