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がんと非膜オルガネラの異常

Membrane-less organelle dysregulation in tumor cells
山本圭太,合山 進
Keita Yamamoto/Susumu Goyama:東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻先進分子腫瘍学分野
10.18958/7783-00001-0006113-00

真核生物の細胞内では,生体高分子が液-液相分離(liquid-liquid phase separation:LLPS)によって凝集し,膜をもたないオルガネラ(非膜オルガネラ,membrane-less organelles:MLO)を形成する.代表的なMLOには,核小体,パラスペックル,ストレス顆粒(stress granule:SG)などがあり,転写制御やRNAスプライシング,DNA修復などの重要な役割を担っている.正常細胞ではMLOの形成・解体が精密に制御されるが,異常なMLO形成は悪性腫瘍の発生・進行に関与することが判明している.さらに,がん細胞は薬剤を含むさまざまなストレスへの耐性獲得にMLOを利用している可能性があり,新規治療標的としての研究が進められている.本稿では,個々のMLOとがんとの関連性について述べながら,MLOを標的とした未来のがん治療の展望についても記載する.

非膜オルガネラ,核小体,パラスペックル,核スペックル,PML body,ストレス顆粒

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